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薬膳療法
薬膳について!
薬膳

私は上海中医薬大学「薬膳」につてい学びましたが、その基礎となるものは『薬食同源』という考え方でした。

『薬食同源』とは、中国に古来からある考え方がで、食べ物の選択を大切にして食が調和していれば、決して病気にはならない、病気になった時は食を正すことが第一の治療となるといった考え方です。 日本では「医食同源」ともいわれますが、この『薬食同源』に基づく薬膳(漢方料理)は、二つの役割を持っています。ひとつは病気の治療を目的とするもので「食療」といい、もうひとつは病気の予防を目的とするもので「食養」といいます。現代に生きる私たちにも参考になる古人の知恵です。

「薬膳」のルーツは、紀元前400年ころ、中国の春秋戦国時代に始まります。当時の医師は食医、疾医(内科)、傷医(外科)、獣医の四科にわかれていました。この中での最高位は食医です。皇帝が病気をせず、長生きできるようにすることが義務付けられていた食医は、医学全般と食品栄養、調理技術と薬膳効果を熟知していたといわれています。 食医未病(将来発現する危険性のある病気のこと)を知って食事を正しく指導し、病気を予防していたのです。

紀元前202年〜後8年、最も古い医学書『黄帝内経』が著されましたが、ここにも「医師は病気を診断するときには、患者の飲食を必ず問わなければならない」「薬と食事で病を治す」と明記され、『薬食同源』の思想がみられます。 バランスのとれた食事についての記載もあります。穀物は命の源とされ、主食として最も重要視されていました。

また、西暦25年から220年頃に著された漢方薬の古典に『神農本草経』がありますが、ここでは日常食や薬を作用レベルによって上品、中品、下品の3つのランクに分類しています。 最高の薬は効き目の穏やかな日常の食事で上品に分類されます。一般的な薬は効き目も強いのですが、性急で強すぎたり副作用があったりしますので、普段使っている食材の特性を知り、上手に日常の食生活に利用し、じっくりとからだの調子を整えて行くのが、最も理想的な養生法といえるでしょう。

私達、中医学を学ぶものは、弁証論治に基づいた治療法を実践しますが、その中で「陰陽・虚実・表裏・寒熱」の8つの対立概念に分類し病態を診断する八綱弁証という方法があります。 これは、そのときの患者の基礎体力や体質、病気の状態、病気の成り立ち方などを見定める診察法「四診」を駆使し、患者の「証」を以下のように「陰・陽」、「虚・実」、「寒・熱」、「表・裏」などのタイプに選別するものです。

陰証・陽証 : 患者の体調や生命力の状態、体全体の反応の性質を示す。
虚証・実証 : 慢性病患者などの基礎的な体力や性質を示す。
寒証・熱証 : 体の冷感・悪寒・熱感などを示す。
表証・裏証 : 病気の進行状態などを示す。

そして、「薬膳」においても、これらの「証」によって使う食材(生薬)も変わってくるのです。
まずは、自分の体の状態が、今どうなっているのかを知ることが非常に重要になってきます。

目次!
「証」の自己診断方法!

「証(体質)」の正確な診断は、中医学を学んだ臨床経験豊富な医師でなければ困難ですが、ここでは、自分でできる簡単な「虚証」、「実証」の診断方法について説明します。

● まずは、「虚証」のチェックを行いましょう。 以下の項目の該当する欄に○をつけてください。

「虚証」チェック


● 次に、「実証」のチェックを行いましょう。 以下の項目の該当する欄に○をつけてください。

「実証」チェック


● チェック結果から次に、「虚証」、「実証」のどちらかを確定しましょう。

「虚証」「実証」の確定


● さらに、「虚証」、「実証」の状態を詳しくチェックし、体質を確定しましょう。

「虚証」の詳細確定

「実証」の詳細確定


● 患者の基礎体力や体質、病気の状態、病気の成り立ち方などを見定める診察法「四診」の中でも患者の「舌」を観察する「舌診」は重要な診断法です。「舌」の状態も「虚証」、「実証」の詳細チェック、および体質確定の参考にしましょう。

「舌診」の方法
「舌診」による「熱盛傷陰」「気血両虚」「気陰両虚」の例


「虚証」のそれぞれの状態に合った食材は、以下の表を参考にしてください。

「虚証」対策の食材と生薬


「実証」のそれぞれの状態に合った食材は、以下の表を参考にしてください。

「実証」対策の食材と生薬


● 陰陽五行説では「五味(酸苦甘辛鹹)」という各臓器(臓腑)に関係した味の分類があります。
この分類とそれに合った食材は、以下の表を参考にしてください。

「五味」と「臓腑」と「食材」の関係


● 陰陽五行説では「五性(熱温平涼寒)」という食材の性質の分類があります。
この分類とそれに合った食材は、以下の表を参考にしてください。

「五性」と「食材」の関係



抗癌のための薬膳食材!

中国では古来より「薬食同源」という考えがあります。人体の「虚実寒熱」の区別、病因である「風寒暑湿」の区別に従って、飲食品の「寒涼温熱」「酸甘苦辛」「清濁補瀉」を考慮して治療を行う考え方です。 もともと体質が虚寒証で風寒の邪気が侵入した場合に、もし「キュウリ」「スイカ」などの寒涼の食品を摂取すると身体を冷やしてしまい健康を損ねます。このような観点は現代栄養学にはありません。中医学では「虚すればすなわち之を補す」と言います。最古の医学書「黄帝内経」では「五穀は養い、五果は助け、五畜は益し、五菜は充たす」と述べられています。 古人は飲食療法を重視していました。古代の名医の「趙景岳」は飲食による「補益」を次のように特に強調していました。

1.食で補う(食補)は、長期の補益を可能にする
病気が比較的軽く、虚症が重大でない患者は食によって補うべきで、医薬を求める必要はないという考え方ですが、中国でも「薬には三分の毒がある」といいます。 食で補うことはこの弊害の心配がいらず、長期の応用が可能です。生理的な消化吸収能力を導引する方が、栄養剤の注射などより優れているとする考え方です。

2.食補は、補益の効果が広範囲である
薬の作用は強力で比較的単一です。これに比べ食補は、温和で多種類であるとする考え方です。 補陰助陽 益気養血などが該当します。弁証論治より「弁証論食」「平衡飲食」「合理配膳」を重視する考え方です。

3.食補は高齢の虚弱者に適している
食補は作用が穏やかで副作用が無いために、老人の「精 気 神」の衰えを補い「益寿」に役に立つという考え方です。

4.「口福」「眼福」を享受することは疾病の予防につながる
「良薬は口に苦し」といいますが、食補の場合では我慢して飲食するということはありません。食品の「おいしさ」を楽しむことができます。西洋薬の脂肪乳、血清蛋白の点滴静注の際に感じる「ある種の恐れや心配」、漢方煎じ薬のように物によっては不快感を生じる味などがありません。 赤いトマト、白い大根、緑のセロリ類、黒のきくらげ、紫の茄子など色を楽しむことも出来るのは「口福」と共に「眼服」なのです。中国では野菜の効用を「五菜は充たす」としています。肥満便秘 高脂血症 心脳血管系動脈硬化の予防に野菜を多く摂取することはよく強調されています。

それでは、主に抗癌用の食材として薬膳などに利用されるものを紹介いたしましょう!


冬虫夏草

日本でもおなじみの冬虫夏草は麦角菌科の冬虫夏草菌が蝙蝠蛾科の幼虫に寄生し子実体を形成したものが一般的で、植物と動物の複合体です。山間部で産出され、中国では四川 青海 西蔵 雲南が特産地です。性味は甘、温で肺と腎を補することが顕著です。腎虚による肺気不足(虚喘咳嗽)、腰痛下肢のだるさ、インポテンツ、遺精などに使用されます。「薬性考」では「秘精益気 専補命門」と称され、「本草綱目」では「填骨髄、長肌肉、生精血、補五臓」と称されています。冬虫夏草重量の4分の1は蛋白質で、豊富な遊離アミノ酸、多糖類、微量元素、ビタミンB12などが含まれています。薬理実験では、免疫調節作用が確認されています。免疫賦活作用として、抗癌剤サイクロフォスファマイド(エンドキサン)で惹起したラット脾臓の重量減少を防止し、マクロファージの貪食能を増強し、ナチュラルキラー細胞の機能を活性化することなどです。マウスS180腫瘍に対して一定の抗腫瘍作用があり、マウスの移植肺癌に対して成長抑制作用が確認されています。他に、骨髄造血作用や血小板生成を促進する作用もあります。放射線療法や化学療法の副作用を軽減することに有利です。心筋虚血や不整脈に対しても有効性があり、気管支平滑筋を弛緩させ去痰平喘作用もあります。薬物性急性腎毒性や慢性腎不全に対して一定の腎保護作用があります。 冬虫夏草には双向性の免疫調節作用があります。双向性とは、免疫増強作用に加え、免疫抑制作用があることを意味します。冬虫夏草は腎移植時の拒絶反応を一定の範囲で抑える作用が確認されていますが、これは免疫抑制反応です。とにかく、慢性肝炎、腎炎、呼吸器系疾患に冬虫夏草が多用されるのは、人体に好ましい冬虫夏草の双向性免疫調節作用があるからです。 補益肺気には百合 沙参 五味子 枸杞子などを加えて食補の材料とします。杜仲を加えればさらに補腎作用を増強することができます。


シイタケ

きのこ類は種類が多く中国では椎茸(香磨jのほかに「草磨v「金針磨v「平磨vなど300種類にも及んでいます。価格が安価であることから椎茸(香磨jは最も利用しやすいものです。中国では「植物皇后」「素中之肉」「美味山珍」などの愛称があります。肝 胃 肺の益気 滋陰 養胃潤肺 治風化痰に用いられます。食欲不振、腹部張満などの証に用いられます。肉厚で香気が濃厚なものが良品とされています。人体に必要な18種類のアミノ酸のうち8種類を含みます。そのL型アミノ酸は活性が高く、吸収されやすいものです。コレステロールを低下させ、動脈硬化を予防します。その他に、抽出成分には有害細菌を殺菌する作用が報告されています。B型肝炎の回復や感冒の予防にも有効です。抽出された椎茸多糖類(βグルカン)と発酵液成分中にはマウスT細胞の免疫活性を促進する効果があります。インターロイキン2と腫瘍壊死因子の生成を促進することが確認されています。この意味で抗癌作用が注目されています。また椎茸は食物繊維を豊富に含む食品です。食物繊維を多量に摂取すると確実に大腸癌の発生を抑えることが報告されています。アフリカ、インドなどではトウモロコシと野菜を主食にしているためか、大腸癌の発生が非常に少ないといえます。冬瓜と一緒に料理すれば、利水降圧、益気健脾に働き、豆腐を加えれば胃気を増強させ、食欲を増します。羊肉と一緒に料理すれば益気健脾、養肝益腎に作用します。


キクラゲ

日本ではきのこの王様といえばマツタケですが、中国では薬効が優れていることで、キクラゲが王様といわれています。白いものを「銀耳」あるいは「白木耳」「雪耳」などと言い、黒いキクラゲより尊び、愛用しています。性味は甘 淡 平で滋陰潤肺 養胃生津 益気強心 安神健脳が効能で、肺胃陰虚が原因の咳嗽、咽干、喀血、寝汗、便秘、しゃっくり、口内炎、痰が少ないから咳、かすれ声などに食用されています。多糖類、必須アミノ酸、カルシウム、鉄、リンはどのミネラルが含まれています。抽出成分にはマウスS180腫瘍株による肉腫を抑制する効果や、放射線によるマウス染色体損傷を防止保護する作用や、四塩化炭素による肝細胞傷害を抑制する作用があることが報告されています。中国の臨床では、放射線療法中の骨髄抑制を防止することや、一定の効果で血糖を降下させる働きがあることが報告されています。放射線療法の副作用である口干舌燥、肺の繊維化に伴う咳嗽などに補助的に使用されています。白キクラゲを多量に食すると、がん患者のT細胞の減少や液性抗体(免疫グロブリン)の減少に効果があるといわれています。また、血栓を予防する効果が最近注目されており、高血圧患者の動脈硬化、高脂血症などにも使用され始めています。見た目から白キクラゲが尊重されていますが、黒キクラゲは補腎作用にすぐれ、白キクラゲは補肺作用に優れていると主張する中医が存在します。中国ではたやすくキクラゲが手に入りますが、日本ではことに白キクラゲは、なかなか入手困難です。


人参

人参は五加科の植物人参の根であり。野生人参はきわめて少ないものです。野生人参はあまりにも高価なために、中国では人工栽培した人参を園参、一定の大きさまで栽培したものを山野に移植(移山)したものを移山人参といって野生人参の代用品としていますが、効能は野生人参に劣ります。人参を洗浄後に晒して乾燥させたものを晒参(白人参)、蒸してから再び晒して乾燥させたものを紅参といいます。沸騰水と白糖で処理し乾燥させたものを白糖参といいます。人参と一口に言っても、白人参は補気作用に優れ、西洋参は陰虚に用いることが多く、韓国人参は(蒸し人参)紅参として流通する場合が多く、補陽作用に優れます。価格が比較的安価なために韓国人参による研究が多く行われています。人参、党参、西洋参、黄耆などは中薬として使用されている食品です。大補元気 補脾益肺 生津止渇 安神増智 復脈固脱が効能で、古来より生命の原動力である元気を補うことより、特に野生人参は庶民の垂涎の的でした。しかし、百病に全て人参を用いるべきでもなく、資源量から言っても。人々が皆、人参を食することは不可能です。人参に含まれる多糖類、アミノ酸、ポリペプチドなどは著明に細胞性免疫機能を高め、免疫失調状態を改善し、大脳、心臓、血管の増強効果があり、内分泌系統を健常化する作用があり、智力を高め、老衰を緩慢化させるなどの効用があります。また放射線照射による骨髄抑制の防止と改善に一定の効果があります。人参には性腺刺激ホルモン分泌の刺激作用があり、小児に多用すれば早熟などの副作用があることは留意すべきことです。また、脂肪分解を抑制するペプチドがあるとの報告も、今後留意すべきところで、脂肪肝、高血圧などがある場合は、慎重に服用すべきです。


松花粉

松花粉とは松の木の開花時期に雄蕊(おしべ)から発散する花粉のことです。俗称で「黄雨」ともいいます。唐代の「美人井」という伝説では、晋代の白洲双角山のふもとに「美人井」という井戸があり、その水は付近の多くの美女を養育したといい、原因は周囲の松の樹林であり、花粉が水中に落ち、美容作用が著しかったとの伝説です。70歳近い女性でも、40歳程度にしか見えなかったそうで、その後、松花粉と真珠の粉は老衰を緩慢にして、美容に効果があると中国では信じられています。不老長寿伝説の一つです。滋補肝腎、健脾益気、調和営衛、燥湿養顔、収斂止血などの効用があります。現代医学による研究では、老化の原因物質であるフリーラディカルを減少させ、細胞の老化を防止させるということが判明しつつあります。また含有されている多量の微量元素も有効成分の一つです。この微量元素は悪性腫瘍の予防に不可欠な成分でもあります。また癌の放射線、化学療法に伴う骨髄抑制を防止する作用も認められます。更年期の不眠、煩燥、習慣性便秘や慢性肝臓疾患、前立腺肥大症にも一定の効果が報告されています。現在のところ、松花粉による過敏症は無いようです。


羊肉

日本では太らないから羊肉を食べる女性が多いようです。中国では羊肉は温性の食品で、益気補虚、温中去寒の効能により、足腰を壮健にし、脾胃を安んじることで知られています。豚肉、牛肉に比較し脂肪分が少ないことも特徴です。李時珍は「本草綱目」中で「虚労寒冷、五労七傷を治する」と述べています。また羊の乳は老人にも小児にも補養剤として有効です。脾、腎を温補するほか、胃気不足や腸燥便秘にも効果があります。羊の肝臓に含まれる、ビタミンAとB2は眼病に著効し、中医が「肝は目をつかさどる」というように、古来、羊の肝臓は眼病には最も良好な食品でした。他に羊の胆嚢は、清熱化痰、清熱解毒作用があり、肺熱咳嗽、頑痰不化、肝火上炎に用いられてきました。羊の腎臓は補腎養精助陽の効能があり、腎虚腎寒による遺精早泄、腰痛に効果があります。羊肉は性質が温性なので、体質が偏熱の者には不適な食品です。また、春夏などの季節には過食してはいけません。焼きすぎることは、3〜4種類のベンゾ化合物が出来て、発がん物質となるので、お勧めできません。またお茶と一緒に食すると便秘になるという報告もありますが、民族の体質や慣れも関係しているようです。羊肉には旋毛虫が寄生している場合があり、生で食することは避けなければなりません。何事においてもいえる事ですが、肉なら羊肉などと決めて、それのみを食することは適当ではありません。ともかく、羊肉は体を温める温性の肉であるということを覚えておいてください。


牛肉

牛肉の特徴は高たんぱく食品であり、ビタミンBを含み、リン 鉄分が豊富あり、強力な補血作用を持つことです。中医学的には、平性であり、補気血、健脾胃とともに強筋骨作用があることです。100g中に亜鉛3.7mg、セレンを約10マイクロg含みます。亜鉛は有機体細胞核の糖核酸の必需成分であり、酵素と蛋白合成に関与します。術後の傷の回復には硫酸亜鉛が有効であるとの報告があります。セレンの腫瘍予防効果も報告されています。牛肉はアルブミンやグロブリンを多く含み、体力の増強や免疫機能を高めます。また、牛肉には水腫をのぞく効能もあり、ハトムギとともに食すれば、特に栄養障害性の水腫に一定の効果があります。生姜(しょうが)で料理すれば、温陽去寒作用を増強できます。天然の牛黄(ごおう)は成熟牛の胆嚢、あるいは胆管に出来た結石ですが、現在価格がとても高いのが欠点です。清熱解毒、去風開竅の作用に優れます。安宮牛黄丸、牛黄解毒丸、犀黄丸などに含まれています。中成薬中で牛黄は重要な位置を占めていますが、近年、胆嚢結石が出来るほどの老牛が少なくなったことなどから市場では高値で取引されています。がん患者においては、放射線、化学療法の後、或いはその最中に血漿タンパクの不足してくる場合や、貧血などに牛肉は有効です。ただし、消化しにくい側面もありますので、スープにするなどの工夫が必要です。中医学的な留意点は、牛肉を中医は「発物」の範疇にはいる食品であるすることです。この性質により、発熱、過敏、発疹などがある場合には避けるべきであるとする中医がいます。


鶏卵

最近の飽食の時代では、鶏卵のありがたみよりも、卵黄中のコレステロールが気になる日本人が多くなりました。中国では鶏卵は「血肉友情の品」であり平性にして、脾、胃に働き、補肺養血、滋陰潤燥作用により、気血不足、熱病煩燥、胎動不安など扶助正気目的の最もよく使用される食品です。何よりも人体への利用率が95%前後で、非常に効率のよい食品なのです。最近の研究では、一種の胃癌細胞に対する抗体であるIGY抗体が鶏卵から抽出されました。鶏卵は、古代においては貴重な中薬であり張仲景は「苦酒湯」を考案し、語言不利を治療したといいます。また、中国では胃炎、胃潰瘍の際の制酸や胸焼けの治療に、外傷出血の治療にと幅広く用いられてきました。潤肺止咳作用は風燥咳嗽(主として秋のから咳)にも用いられました。また老年期の痴呆防止効果もあります。卵黄中のリン脂質はコリンの主要な減量です。アセチルコリンは大脳の主要な神経間伝達物質です。留意すべき点は、腎機能が衰えた場合に、鶏卵を多食すると、高蛋白であることから、人体に対して蛋白負荷が起きてしまうことです。同様の理由は、重症の肝臓病患者の場合にも注意すべきです。 中国では、日本のように鶏卵を生で食することは無いようです。主として衛生上の問題からです。中国では濃い茶に漬けた鶏卵を食する習慣がありますが、多量のタンニンと蛋白が結合し、不消化物を形成するので、腫瘍予防の意味では利点はないと中医は説いています。また砂糖を加えて甘くする卵焼きなどは、あまり好ましくないと中医は説いています。


アヒルの肉

中国には「ガチョウの歩み、アヒルの歩み」の意味の「鵞行鴨歩」という、のろのろして行動が遅いことを揶揄する成語があります。一方、アヒルの肉には古来より陰を補い、虚火を清する「補陰退熱」の効能があり尊重されてもいます。滋陰補腎、補虚生津、利尿消腫などの効用を中医は強調し、陰虚内熱が引き起こす微熱、便秘、食欲不振、粘調痰とから咳、さらに浮腫みなどに対しても薬膳料理として推奨しています。以前は結核患者に良いといわれていました。「本草綱目」には「填骨髄、長肌肉、生津血、補五臓」と記載されています。中医学では、アヒルの肉は寒性で、大補虚労、消熱毒、利小便の作用があるとされ、温熱性が多い肉類の中で特異的なものです。アヒルの肉は鶏肉よりコレステロールが少なく、鶏肉の85%程度です。アヒル肉の調理法は中国では多数あります。なかでも北京の北京ダックが有名ですが肉性が寒性なので、脾胃虚寒、腹部冷痛、大便泄潟、因寒痛者など、つまり寒邪が存在する場合には過食してはいけません。



日本人にとって「鯉」は古くからなじみの深い食品で「鯉こく」という料理もあります。産後の体力の回復、病中病後の体力の維持、回復に愛用されてきました。中国では鯉は吉象の表れであると共に、母親の病気に対して、孝行息子が氷面に腹ばいになり、氷を割って鯉を求めたという故事により、親孝行を物語る魚でもあります。また、中国の美人画の背景には蓮池に泳ぐ鯉などが描かれています。中国では河南の黄河の鯉は絶品と言われています。「神農本草経」では「鯉は諸魚の長」と言われています。薬用の立場では、性質は平、健脾養胃のほかに利水消腫、通乳安胎、止咳平喘作用があります。鯉の蛋白組成は人体に良く似ていることも特徴です。豊富な不飽和脂肪酸は動脈硬化症を予防します。カリウムイオンが高いのも特徴です。100g中にレチノール25μg、ビタミンA25μgを含み視力の改善に有効です。鯉の頭に含まれる豊富なレシチンはコリンを合成する際に必要な物質で、大脳の機能を改善するとも言われています。古来より聡明な人は魚の頭を良く食べるというのもあながち根拠の無いものではありません。 鯉の利水消腫作用は、肺癌患者で脾虚水腫を合併している場合に有効に働きます。中期、晩期のがん患者の場合、多くは低蛋白血症、腹水、胸水などが見られますが、このような場合、鯉を食することは理にかなっています。冬瓜を加えて料理すれば利水消腫の効能を増強させることが出来ます。また鯉を食する場合に米醋をかけると有効成分の吸収が良くなります。


スッポン

スッポンを中国では甲魚といいます。薬膳としてのスッポン肉の性味は甘 平とされていますが、中薬として用いられる甲羅の部分(鼈甲)では咸 寒と肉と甲羅では性味が異なるようです。帰経は肉の部分は脾 肝経、鼈甲は肝経といわれています。 肉の効能は養陰、涼血、清熱、散結、補腎など多彩ですが、鼈甲では、滋陰潜陽、軟堅散結とされています。鼈甲の肝経に作用する性質や軟堅散結作用は肝脾腫大に有効とされます。鼈甲は現在癌患者の補陰剤として使用されています。スッポン肉料理と癌との関係では、特に体力低下に有効であるということと、補陰作用により、放射線、化学療法後に出現する口干舌燥、排尿痛、手足のほてり、息切れ、倦怠感などに効果があるということです。100gのスッポン肉には蛋白質17.3g、カルシウム124mg、リン94mg、ビタミンA91国際単位がふくまれます。肺結核、癌、慢性肝炎、心血管障害などの薬膳料理として知られています。スッポンの軟骨組織にはカルシウムやアミノ酸が含まれます。スッポン肉粉を担癌マウスに食べさせると、1ヶ月後に種湯が縮小したとの報告があります。また鼈甲には免疫グロブリンを増加させる作用や細胞性免疫を賦活する作用などがあることが判明しつつあります。鼈甲はがん患者に中医がよく使用する鼈甲煎丸(べっこうせんがん)、黄耆鼈甲湯(おうぎべこうとう)などの主要成分です。日本では「すっぽん鍋」が有名です。味付けは中国のスッポン料理に比べ格段に強い印象を受けます。最近のスッポンはほとんどが養殖物です。養殖物のスッポンを食すると肝機能が悪化する例もあると中国では言われています。おそらく、養殖する際に投与された抗生物質や餌の問題があるのではないかと思われます。


ナマコ

ナマコを海の人参という意味で中国では「海参」といいます。中国では乾燥品で市販されています。性味は甘、咸、平であり、心、腎、脾、肺経に作用し、補腎養血、益精壮陽のほか多くの滋補作用があります。腎虚からくるインポテンツ、早漏、遺精に、血虚からくる貧血に、陰虚が原因の便秘、煩渇に、脾虚が原因の倦怠感、四肢のだるさなどに愛用されています。陰虚内熱のある糖尿病、肺結核などの食事療法として有名な食品です。ナマコの蛋白含有量は非常に高く、100gの乾燥品中に76.5g含まれ、脂肪分が1%と少ないのが特徴です。コレステロールの心配をする必要の無いことはありがたいことです。アルギニン、コンドロイチンを多く含み、動脈硬化、冠状動脈硬化症に有効な食品です。ナマコ抽出成分には、マウスの学習記憶能力を増強し、コレステロールを低下させ、老衰を緩慢にさせ、鎮痛止血効果があり、抗真菌作用があるなど、いいこと尽くめの効果があることが報告されています。ナマコのムコ多糖類をマウスの腹腔内に注射することで、肉腫、悪性黒色腫(メラノーマ)乳癌の発育を抑制することが報告されています。放射線照射による骨髄抑制を抑制し造血作用を増進させることも確認されています。放射線照射によるマウスの生存実験では延命効果があることが確認されました。食用する際の注意点は、高蛋白食品であるため、腎機能がすでに低下している場合、蛋白負荷の危険性があることです。また、一般に柿、石榴(ざくろ)、サンザシなどと一緒に食べるのは良くないことだとされています。 ナマコの蛋白成分が、これらの酸性の物質と反応して、不溶性の蛋白凝固物質が生成され、人によっては、悪心などの症状を引き起こすからだといわれています。とにかく中国では、乾燥保存したナマコを水で戻してから料理します。日本のように生で食する習慣はありません。


胡麻

胡麻、特に黒胡麻には古来より潤腸通便 滋養肝腎の作用があり、頭髪を保持、或いは脱毛の治療薬として用いられてきました。性質は平性。胡麻には不飽和脂肪酸、ビタミンE、レシチンが豊富に含まれ、大脳機能を改善することや、養顔(美容)、抗老衰作用などがあります。100gの胡麻には19.8gの食物繊維があり、胡麻を食することは、大腸癌の予防にもなります。中国では、中年期以後に蜂蜜、桑葉、桑の実、黒胡麻で丸薬をつくり(桑麻丸)、老化防止、特に目のかすみ、便秘、毛髪の維持に対して服用します。老化を防止すると言うことは、とりもなおさず免疫力を維持すると言うことであり、腫瘍予防効果が期待できます。


落花生

落花生(ピーナッツ)は日本では「27個でご飯一杯分のカロリー」などと、糖尿病のカロリー制限で、その蛋白源としての性質よりも脂肪分の方が問題になっているようです。中国では、いたるところでピーナッツ料理が出てきます。ピーナッツの性質は、平性、肺と脾に作用し、健脾和胃、潤燥化痰、益気止血です。中国では殻つきのピーナッツを塩水と八角で水煮したものも庶民に愛されており「肺を養う」と言われています。ピーナッツ中の不飽和脂肪酸は肝臓内のコレステロールを胆汁酸に分解し排泄を促進する作用もあります。この意味では血中のコレステロールを低下させ、粥状動脈硬化症を防止する働きがあります。ピーナッツの殻にはβ−シトステロールがあり血中脂質を低下させます。醋を加えた煮汁を中国では高血圧症に使用しています。がん患者においては、止血効果と血小板増加効果がピーナッツで実証されています。ピーナッツの薄皮には血友病の出血を止める効果もあると言われています。その意味で、中国で薄皮ごと料理されているピーナッツ料理法は薬効の面からすれば適切な料理法でしょう。ピーナッツには補脳機能があり、智力を保ち、老化による大脳機能の衰えを防止する働きがあります。豊富に含まれるリジン、グルタミン酸の効果といわれています。また脂溶性のビタミンEなどは動脈硬化を予防します。ピーナッツとナツメの料理は脾虚気弱に、枸杞子を加えれば腎気不足に、橘皮を加えれば理気化痰、止咳平喘、健脾和胃などに、栗やサンザシを加えて粥にすれば心気不足、不眠に有効です。


胡桃(くるみ)

胡桃の「長寿食品」としての信用度は中国では非常に高く、高齢者は好んで食べています。性味は甘、温で補肺益腎 滋陰助陽 潤腸通便 止咳定喘がその作用です。老人で肌に艶があり、髪も黒い場合などは、胡桃をはじめ、何らかの長寿食品を食べています。杜仲などを加えて、腎陽虚による腰痛、不眠、夜間頻尿などを各家庭で治療している場合も少なくありません。胡桃には松の実(松子仁)に相当する豊富な脂肪が含まれています。胡桃の脂肪は、副腎皮質ホルモンの分泌を活発化させるとも、腸内の有益細菌を増殖させるとも言われています。特に胡桃成分には動脈硬化や脳細胞の老化を防止する効果があるとされています。ねずみの実験では、血中の脂質を減少させ、かつ老化を緩慢にすることや、移植癌を抑制することが確認されています。胡桃にはリジンが多く含まれ、腫瘍治療や結核などの慢性消耗性疾患に有効であると言われています。胡桃を食べる際の注意点は、初めは5個ぐらいから始めることです。次第に量を増やしていきますが、胡桃には潤腸通便作用がありますので、下痢っぽくなったら量を減らして、それを維持量にします。


ハトムギ

ハトムギは食品であると共に、薬品でもあり、薬膳の世界で重宝されています。中国では「天下第一米」などとも呼ばれています。性味は甘 淡 微寒で、脾、胃、肺に働き、利水参湿、健脾、消痛排膿の効能があります。健脾利水滲湿作用は浮腫や小便不利に、消痛排膿作用は肺化膿症、腸の化膿性疾患に使用されます。ハトムギは微寒ですが脾胃を傷害しません。他の米類に比較して蛋白質の含量が多いのも特徴です。100gのハトムギには16.2gの蛋白質が含まれます。ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンEのほかに多種の微量元素も含まれています。よくいん素と言われる物質には解熱鎮痛作用があり、動物実験で鎮静作用があることが確認されました。降圧作用も確認されています。よくいん附子散と芍薬甘草湯の合方で坐骨神経痛や肩関節周囲炎に良好な効果が認められます。中医臨床では、肺癌 胃腸癌 肝臓癌などに使用されています。ハトムギ多糖類は免疫抑制マウスにおいて細胞性免疫機能を維持、或いは賦活することが確認されています。また、子宮癌の抑制作用もあると報告されています。中国では注射製剤もあります。使用上の留意点は陰虚の患者さんの場合は陰液消耗による虚火を助長させる恐れがあることです。またハトムギには、古くから美肌効果があることが証明されています。ハトムギは女性にとって頼りになる食品といえるでしょう。熱で炒めたハトムギと生ハトムギがありますが、好みに応じて食されたらいいと思います。熱で炒めたハトムギは利尿作用がやや弱くなるものの、健脾作用に優れ、一般には茶として服用します。粥を作る場合は生ハトムギを使用します。


トウモロコシ

トウモロコシは中国では「玉米」「玉蜀粟」「棒子」などと呼ばれています。日本ではスイートコーンが人気ですが、薬食同源の観点からトウモロコシの価値は意外と高いものです。 性味は甘、平、胃、膀胱経に働き健脾益気、利水滲湿作用があります。薬膳の立場からは、食欲増進作用(開胃)、利胆、通便、利尿、血管を柔らかくする、細胞の老化を遅らせる、癌を防止する効果があるなど多彩です。高血圧症、高脂血症、動脈硬化、老人の習慣性便秘、慢性胆嚢炎、小便不利などに使用されています。その地位はどんどん高くなってきたと言えるでしょう。成分は多彩で、ビタミンA、Eのほかにグルタミン酸などが含まれます。動物実験では老衰を遅らせる働きがあることが報告されています。豊富な食物繊維は便秘を予防し、コレステロールの吸収を抑制し、腸内の有害な毒素を排出させます。トウモロコシ油には、大量の不飽和脂肪酸が含まれており、血中の有害なコレステロールを除き、動脈硬化を防止します。調査によれば、トウモロコシを主食にする農民婦女の場合、毎日便通があり、大腸癌の発生が極めて少ないということです。また防癌効果のあるカロチン含有量は大豆の5倍とも言われています。またトウモロコシにはリジンの他、微量元素が含まれ、体内での有害な酸化反応を抑え、腫瘍の発生を防止するとも言われています。同時に、ビタミンB1,2,6、ニコチン酸を含み、神経伝道を改善し胃腸の機能を保護するほか、心筋炎の改善、皮膚の美容効果もあると言われています。B族のビタミンは動脈硬化防止作用が大きく、血中コレステロールの血管壁に沈着することを防止します。玉米と木瓜を同時に食すると、慢性腎炎、冠状動脈硬化症、糖尿病に有効であるとの報告もあります。収穫期のトウモロコシの先の茶色いひげを中国では玉米須と呼び、利胆作用、利尿作用、血糖低下作用があることでよく知られています。慢性腎炎、あるいはネフローゼ症候群の際に利尿清熱解毒剤として利用されています。糖尿病患者の場合、血糖を低下させるのに十分な効果があります。玉米須は通常50〜60g使用し、煎じて使用します。トウモロコシを食する場合の留意点は変質したもの、腐った部分のあるものは当然のことながら食用にはなりません。少しでも、そのような部分がある場合は、食用は避けるべきです。


大豆

大豆の効用はいまさら言うまでもありませんが、性味は甘、平性、脾、胃、大腸に作用し、益気健脾、下気寛中、潤腸通便、利水解毒の効用があります。中国では古代より、腎病を治し、利水作用があり、諸風熱を制し、活血解毒作用があると言われています。日本では「畑の牛肉」とも言われ、植物肉として有名ですが、中国でも同じことが言われています。 「金持ちは肉を食べ、貧乏人は豆を食う」と言われているのも、大豆の植物肉である地位を物語っています。日本では、枝豆と冷たいビールが夏の定番となっていますが、中国では日本のように枝豆として食べる習慣は無いようです。あくまでも、乾燥させ、貯蔵した大豆から、いろいろな大豆料理を作ります。 癌との関係では、大豆蛋白がねずみの乳癌の成長を抑制することが確認されています。大豆の不飽和脂肪酸がコレステロールを低下させることは良く知られています。沖縄の長寿の原因は大豆を良く食べるからだとも言われています。大豆の可溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促進し、大腸癌を予防するとも言われています。また、大豆成分の中に、乳癌、前立腺癌を抑制する物質が発見されたという報告があります。細胞老化の原因であるフリーラディカルを減少させる効果や、抗菌効果のある成分も見つかっています。中国では薬剤障害性の肝障害にたいして大豆成分が有効であるとの報告もあります。 また「産後風痙」に効果があるとされ、大豆に含まれる多種の微量元素が、その薬効成分ではないかといわれています。改めて大豆の効用に驚くばかりです。 ところが、大豆の有効成分の一つであるイソフラボンの過剰摂取は、かえって健康を害する恐れがあるという最近の報告があります。この場合は、イソフラボンだけを濃縮したようなサプルメントにあてはまることであり、食品としての大豆に対しては、そのような危惧を持つ必要は全くありません。安心して召し上がってください。


山芋

中国では山芋を「山薬(さんやく)」と呼んでいます。「山薬」については古来より様々な伝説があります。いずれも、食べ物が無くなった極限の状態で、「山薬」を見つけたことによって、健康を維持、体力が充実したという類の伝説です。 私の妻も最後に口にしたのが、私が山で取ってきたこの山薬でした。この山薬のお陰で数日間生き延びることができました。 山薬は河南地方が名産地です。性味は甘 平で脾、肺、腎に働き益気養陰、滋補脾肺が作用で、脾胃虚弱、食欲不振、肺虚久咳、大便溏滑、小便頻数、遺精、脾虚型帯下、倦怠感などの様々な症状に用いられている薬剤です。癌治療との関係は、山薬に含まれるアミラーゼ、ポリフェノール酸化酵素が消化を促進し、食欲を増進させることから、放射線、化学療法を受けている患者さんに比較的大量に食べさせています。胸部の放射線療法の際に常に発生する痰が少ない「から咳」が特徴である「熱毒傷陰」の症状に対しても、滋養肺陰作用を持つ山薬が有効です。動物実験では、山薬抽出多糖類成分がマウスのT細胞の免疫機能を賦活することや、マクロファージの貪食能を亢進させることが確認されています。山薬に含まれるムコ多糖類は軟骨組織や関節液の生成と関係しているとの報告があります。結合組織の萎縮を防止する作用があると言われ、その意味で膠原病への応用も考えられています。ムコ多糖類とともに山薬に含まれる多糖蛋白は、血管の弾力性の維持、血管壁への脂肪沈着の防止などの効果があると報告されています。山薬を食する場合の注意点は過食すると肥満傾向が出現することです。山薬は補気薬でありながら養陰作用もあるので、本来、その養陰作用により、糖尿病の口渇などの治療薬でもありますが、当然のことながら、糖尿病の患者さんの場合は、カロリー過剰になるので食べ過ぎてはいけません。ステロイドホルモン服用時にも食べ過ぎてはいけないと中医は指摘しています。日本では、古くから「とろろ麦飯」や、マグロにからめた「やまかけ」が庶民に愛されてきました。自然薯が少なくなった今日ですが、土壌汚染の無い土地での栽培ものの山芋でも、十分に薬効が存在します。


カボチャ

カボチャを中国では「南瓜」といいます。南瓜には中国で有名な伝説があります。清代に、幼いときから聡明で学問を好んだ少年が、家が貧しいために老師に南瓜しかお礼が出来なかったのですが、老師は欣然として受け取ったという伝説で、「南瓜礼」として知られています。さて、南瓜の中医学的食品栄養学に話を戻せば、性味は甘 温 脾胃経に作用し、補中益気、健脾暖胃、解毒止痛が効能です。久病体虚、脾胃虚寒からくる倦怠、胃寒納呆(食欲減退)、少尿水腫などに効果のある食品です。南瓜の中心部の種子を包んでいる柔らかい部分には清熱、利湿、解毒作用があるといわれます。南瓜には養心宣肺作用があるとも言われています。南瓜に含まれるビタミンB12は悪性貧血(巨細胞性貧血)の重要な治療薬剤です。またコバルトを含むことでも有名です。南瓜には食物繊維、ビタミンE、C、A、トリゴネリン、カロチンを豊富に含みます。糖尿病の治療や、高血圧の治療に有益であるという報告もあります。また、肝硬変の補助治療としての有効性も研究中です。南瓜は亜鉛を多く含み、人体の成長発育に有効であるとの報告もあります。その他、胃粘膜の保護作用、腸の蠕動運動促進作用なども南瓜の薬理作用です。またダイエット食品としての利用価値が注目されています。癌との関係では、食物繊維が大腸癌の発生を防止することや、腸内の有毒物質を分解する酵素成分を有することから、発がん物質を除く意味で、その効用が注目されています。また、成分中の微量元素とくにモリブデン、亜鉛などは腫瘍発生予防効果があるとも言われています。また、カボチャの種(南瓜子)の成分には前立腺の腫脹を除く作用があることが報告されており、前立腺癌の予防に一定の効果があることが期待できます。


大根

大根を中国では夢卜といいます。古くは三国時代に曹操軍が南下した際に、多数の伝染病にかかった際に、土地の農民から紹介された夢卜でそれが治った話や、唐代の則天武后が洛陽の夢卜をひどく愛し、宮廷の第一道菜としたことなどが有名です。中国民間では、「冬に大根を食べることは人参にもまさる」と「冬は大根、夏には生姜(しょうが)」などといわれています。夢卜の性味は甘、辛で、生産地により涼性であったり、温性であったりします。脾 胃 肺経に作用し、下気寛中(気を下ろし、胃腸を心地よくするの意)、消食導滞、止咳化痰などの効能があります。胃気上逆、食積張満、咳嗽痰阻などに効果があります。夢卜の種子を胃腸の気を下ろし、痰を除き、食滞を除くことに常用されます。ただしこれは薬膳には使用されず、漢方薬として使用します。人参と一緒にすると人参の作用を消してしまうとされ、「破気」作用があると中医薬学は説いています。 癌との関係では、夢卜に豊富に含まれるリグニンをマウスに経口投与したところ腫瘤の成長を著明に抑制した報告があります。夢卜中のマスタード油と大量の繊維は腸の蠕動を促進し、便秘を防止し、大腸の発がん物質の吸収を減少させ、大腸癌の予防に効果があります。またビタミンA、Cを豊富に含み、加えて大量のアミラーゼは亜硝酸発がん物質の分解にも効果があると考えられます。夢卜は理気降逆作用だけではなく、消化吸収の効能が著明で、腸の蠕動運動を促進することから、食欲を増進させ新陳代謝を活発化させることに有利です。肝臓癌や消化管の癌患者が、特に放射線、化学療法などによって、食欲減退、便秘、免疫機能の低下あるいは痰が絡んで咳が出るような場合に有効です。留意点として、夢卜は下気寛中(気を下ろし、胃腸を心地よくするの意)、下気降逆の作用を主体とするので、気血両虚の患者さんが夢卜を過食すれば脱力感などを感じます。従って、夢卜を食する場合には補益食品、例えば羊肉、豚肉 鶏肉などを加えるような工夫が必要です。 夢卜の中国民間の使い方は実に様々で、絞り汁を感冒で無汗の場合に発汗去邪剤として麻黄湯のように使用する方法や、絞り汁には胆石の予防効果があるとする説もある一方、流行性耳下腺炎時に局部に外用する人々もいますし、絞り汁を常飲すれば緩慢に高血圧が改善するという報告もあります。夢卜にはいろいろな種類があり、一般に白夢卜にはカロチン、ビタミンB2が、紅夢卜にはビタミンC、ニコチン酸が多く含まれているとされます。現代日本に流通する「青首だいこん」は、古来より中国で食されてきた夢卜より、薬効が少ないのではないかと思います。「徒然草」で有名な吉田兼好も大根の効用について書きしるしていますが、現代の「青首だいこん」でなかったことは確かなようです。


ニンニク

ニンニク(大蒜)の性味は辛 温であり、脾、胃、肺経に働き、行滞 暖胃 解毒 殺虫などが効能で、飲食積滞、張満腫悶などに利用されます。伝染性の胃腸病が流行するたびに、中国民間では殺菌解毒を目的に使用されてきました。第二次世界大戦の時に、英軍が数千トンの大蒜を、抗生剤不足に対して、抗生剤代わりに使用したといわれます。古代ローマ人が感冒やはしか(麻疹)に使用したことも知られています。古代インドでは智力増進に、現代の南アフリカでは小児のエイズに合併する口腔内感染症に用いられ、一定の効果があるといわれています。 大蒜には重量比0.2%の揮発性物質が含まれ、主要なものは10種類ほどのチオエーテル化合物で、その中の76%はアリシンです。アリシンはブドウ球菌、肺炎球菌、結核桿菌、一部の真菌に抗菌作用があり「植物攻勢素」と呼ばれているのもうなずけます。大蒜の成分は複雑で、チオエーテル化合物の他、多種の糖類、アミノ酸、ビタミン、脂質、微量元素、カルシウム、リンなど多種の生物活性をもつ成分です。食欲を増進させ、胃液分泌を亢進させ、高脂血症、高血圧、高血糖に有益であるとされます。癌との関係では、山東地区の大蒜の産地では、産地でない近隣地と比べ、古来より胃癌の発生が低いことが注目されてきました。アリシンが発がん性の亜硝酸類の発生を抑えるのではないかと思われます。また、最近の研究では、大蒜中の豊富なセレンとゲルマニウムが腫瘍発生防止の主要な成分ではないかと報告されています。セレンは重要な抗酸化剤であり、動物実験で癌誘発を抑制することが明らかになってきています。中国での疫学調査では、肝癌の高発生地区では血中セレン含有量が低いとのことです。一般の野菜や果物にはセレン含有量が少なく、大蒜、玉葱、きのこ類などの食品がセレン不足を補うと中国では考えられています。また、大蒜中のチオ化合物は、マクロファージやT細胞の機能を促進するとの報告があり、腫瘍予防の意味で有利な食品です。また、大蒜の抽出成分には腸管の発がん物質を分解する作用があるとの報告もあります。日本での研究では、大蒜中のゲルマニウムが癌細胞の拡散を防止するとの報告もあるようです。 中国では大蒜の皮の色により、紫皮蒜と白皮蒜に分けます。北京の紫皮蒜、杭州の白皮蒜は有名です。キュウリと一緒に食べると糖類が脂肪に変化するのを抑え、さらにコレステロールを低下させ、ダイエットに効果的です。試してみてはいかがでしょうか。私は子供の頃、お風呂を沸かす薪の近くにこのニンニクを丸ごと置き、焦げ目が付いたぐらいで皮をむき、柔らかく辛味も減った香ばしいニンニクを熱いうちに食べるのが大好きでした。


玉葱(たまねぎ)

アメリカ独立戦争時に多くの兵士が玉葱を食べて下痢を治した話は有名です。中国では、あまり玉葱料理をレストランで見かけることは無いようです。ステーキの付け合せとか、餃子の材料などには使用されます。性味は辛 温で温通解表 発散風寒 燥湿解毒が効能で、外感風寒、身痛無汗、胃寒納呆 食積張満などに食用されます。玉葱は天然の抗癌食品であり、実験で証明されています。玉葱と大蒜は共にアリシンと硫化セレンを含有し、発癌性の亜硝酸塩の体内生成を抑制します。含有リボフラボンやグルタチオンも防癌作用が期待できます。含有キサン酪酸は細胞の糖利用を高めることから血糖を下げる効果も期待できます。玉葱にはプロスタグランジンAが含まれるとも言われ、血圧降下作用もあるとされます。また玉葱成分には血中脂質を低下させ、動脈硬化を予防する効果も報告されています。また、骨密度を増加させるという報告もあり、骨粗鬆症の治療にも期待できる食品です。中国では玉葱をよく食べると養顔作用によって美容効果があるとも言われています。


油菜(チンゲンサイ)

油菜という名前は日本人には馴染みが少ないかもしれませんが、青梗菜(チンゲンサイ)と言えばほとんどの日本人に知られるようになりました。日本では、本場中国よりも、やや小ぶりの油菜が食べられているようです。油菜には伝説があります。唐代の名医の Sun Si Miao が頭部に悪性の出来物を患い、張れと痛みで瀕死の状態であった時に、突然、古書の中の記載を思い出し、油菜の葉を叩きつぶして貼ったところ出来物が治癒したという伝説です。それ以来、後世の人は丹毒、乳腺炎、皮膚化膿症、腫瘍に対して外用するようになりました。油菜には冬油菜と春油菜があります。長江流域、四川盆地は冬油菜の産地であり、中国での栽培面積の80%以上を占めます。青海など西部高原地区は春油菜の産地です。油菜の種子には油が多く名前の由来となっているほか、開花期間が長く、その蜜は蜂蜜の良好な原料になります。油菜は辛涼で肝 肺 脾経に働き、消腫散結、破結通腸の効能があります。民間では、習慣性便秘、労傷吐血、熱毒性の出来物に油菜を沢山食べることが推奨されています。カルシウムの含有量が高く、成人が毎日500g(一斤)の油菜を食べれば、カルシウム、鉄、ビタミンCなどの栄養素を必要量摂取できると言われています。また、豊富に含まれるカロチンは免疫機能を高めます。食物繊維も豊富で、脂肪類の排泄を促進し、脂肪吸収を減少させ、腸の蠕動運動を亢進させ便秘を解消し、大腸癌の発生を防止します。油菜中には植物ホルモン類似物質が含まれ、いくつかの酵素を増加させ、発ガン物質を分解させ、悪性腫瘍の発生を防止すると言われています。涼性の食品であり、一定の解毒涼血作用があり、熱毒性の出来物、血熱による出血に有益です。熱盛が原因の口腔潰瘍、歯肉出血にも有効とされます。調理法で注意すべきことは、洗ってから切ることです。これは水溶性の有益物質の喪失を少なくするためであり、次に切ったまま長く放置しないことです。これはビタミンの酸化を防止する目的です。また、油菜のビタミンを分解する肝臓やキュウリ、大根などと同時に食べないことも大切です。


蓮根(レンコン)

蓮根(レンコン)は中国では蓮藕と呼びます。蓮科多年生水生植物の蓮(はす)の根茎で、節に当たる部分を藕節と呼びます。秋から冬にかけて蓮根を切り出し、藕節の部分は別に切り出し、晒し干しして、薬用にする場合は焼いて炭状にしたものを使います。これを藕節炭といい、漢方の世界では止血薬として用います。宗朝の孝宗皇帝の生活が豪奢で、モクズガ二(現在の上海カニと思われます)を食べ過ぎて、下痢が止まらなくなり、侍医の手当ても無効で弱り果てていたときに、民間の教えに従い、蓮根の絞り汁と熱い酒(紹興酒かと思います)を飲んで快癒した話が残っています。このように、蓮根の薬用価値は大きいものです。蓮根の性味は甘平、心肺脾経に働き、清熱涼血、固凝止血、健脾開胃、生津止渇が効用です。新鮮絞り汁は清熱解毒作用が強いとされます。また、鎮痛安神作用があり精神安定効果があるのも特徴とされます。蓮根は清暑熱煩、肺熱咳嗽、血熱妄行などに有効です。「食療本草」には「蓮根は中焦を補し、養神作用があり、益気作用に優れ、百病を除く」と記載されています。「随息居飲食譜」には「虚を補し、心を養い血を生み、開胃作用で食欲を増し、下痢を止めて飢えを充たす」とあります。 現代医学の研究では、蓮根はでんぷん、ミネラル、ビタミンC、食物繊維を含み、含有タンニンは止血に作用すると考えられています。また、妊婦や産後の貧血改善にも有効であるとの報告もあります。意外に蓮根のカロリーは少なく、豊富な繊維成分、ビタミンなどはダイエットや美容に効果があるとされます。粘りのある糸を引くムコ蛋白と食物繊維成分は食物中のコレステロールの吸収を抑制し、痩身効果と効脂効果があると言われています。がん患者の放射線療法後の口干舌燥、熱毒傷陰による尿血、便血などに新鮮絞り汁が有効であるとの報告があります。食用方法は様々で、中国の南方ではスープに入れたり、北方では炒めたりします。年長の患者さんは、絞り汁を多用します。粥にしたり、煮物にしたりします。上海料理の名物で、蓮根にもち米をつめて甘く煮付けた料理があります。日本での芥子(からし)蓮根の芥子をもち米にしたもので、なかなかおいしいもので、益気生津効果があるといわれています。藕節炭は止血剤として薬用にしますが、新鮮絞り汁でもかまいません。固凝収斂効果により、放射線療法後の下痢、あるいは放射線直腸炎の下痢などにとても有効です。


蓮子

中国の美人画を見ていると、その背景に蓮が描かれていることが多いのに驚かされます。有名な中国の小説「紅楼夢」には「一人の婦人が不眠で悩み、姑に尋ねたところ、蓮の花を指差し、その種子(蓮子)を食べなさいと言われ、食したところ安眠が得られた」の記載があります。蓮子は食品であると同時に中薬学での重要な薬剤でもあります。種子の中の胚芽部分の芯を蓮子芯と呼び、苦寒の性味があり、補腎清心、止血固精の効能があるとされます。また、蓮の葉は荷葉と呼ばれ、清熱利湿、止血昇陽の効能があるとされます。蓮子は脾腎心経に作用し、養心安神(精神安定作用)、健脾止瀉(胃腸機能を高め、下痢を止める)、益腎固精(腎気を強くして腎精の漏脱を防ぐ)などの効能があり、不眠症、脾虚泄潟、食欲不振、腎虚遺精などに効果があるとされます。古来より「八宝蓮子粥」は有名で、清心安神作用がある上に、補薬につきものの胃腸障害を起こさないといわれています。 現代の研究で、蓮子には多種のビタミンが含有される意外に、微量元素を含み、セレン、ゲネセリン配糖体は神経衰弱、慢性胃炎、消化不良、高血圧に有効とされています。動物実験ではマウス胸腺皮質のTリンパ球の細胞活性を増加させることや、サイクロフォスファマイドのマウス免疫抑制を改善する作用の他、いくつかの酵素活性を増強させることから来ると推定される、一定の抗老化作用も報告されています。蓮子には血糖を降下させる効能や、心臓の不整脈を抑える作用もあることが報告されています。蓮子の味は清香で、甘く、いろいろな調理方法があります。粥にして食べるのが最も簡便ですが、百合、白きくらげなどと一緒に料理してもよろしいです。遺精の治療には竜骨を一緒に配合しても良く、蓮子と米を一緒に食すると、胃潰瘍の回復治癒が促進するとの報告があります。


唐辛子

辣椒(ラージャオ)こと唐辛子の原産地はアメリカ大陸の南の熱帯地区で、メキシコが原産地です。私が若い頃にアメリカ西部、メキシコに居た時、この唐辛子(チリペッパ−)を暑さ対策としてたくさん食したことを思い出します。中国には明朝の終わりごろに伝来したと伝えられています。中国では西南、西北、湖南、東北の治方で好んで食されています。「辛くなければ飯を食べない、辣椒無ければ食事にならない」などといわれている地方もあります。雲南地方の少数民族にはもっぱら辣椒で客をもてなす習慣があります。辣椒は中国で40種類にのぼり、四川省のものは「朝天椒」といい、小ぶりですが最も辛いものです。よく言われる「三椒」とは「辣椒(唐辛子)」「花椒(山椒)」「胡椒」を指します。辣椒は中薬で五味の中の「辛」の代表です。性温、脾 胃経に働き、温中散寒、健脾開胃、去風湿、消食積の効能があり、寒凝による腹痛、嘔吐、下痢、関節痛などに用いられ、「温中下気、散寒除湿、開胃去痰、消食殺虫解毒」とその効用が「食療宜忌」に記載されています。辛味の成分はカプサイシンで、胃腸の蠕動と消化液の分泌を活発化させ、消化管内の異常発酵を押さえ、消化管内の積滞物を排泄させることから、食欲と消化を促進する効果があります。カプサイシンは血液循環と心拍出量を増加させ、血管を拡張させ、顔面の発汗や、手足の冷たさを寛解するなど温中散寒、辛温解表、発汗退熱の効能により風寒感冒を治療することが出来ます。寒冷で多湿地帯では寒冷が原因での関節痛などにたいして辣椒が好んで食されています。またカプサイシンは抗酸化物質であり、辣椒中に含まれる豊富なビタミンA、Cは癌を予防するのに有益であります。しかし過食すれば、有害無益であると中医はといています。 民間では辣椒のダイエット効果が早くから認識されています。朝鮮民族、四川、雲広、湖広地方の民間人に肥満体はあまりありません。カプサイシンの基礎代謝亢進や脂肪代謝促進などがそのメカニズムです。辣椒を食する際の注意点は、陰虚火旺の体質者、あるいは汗っかきの人、妊婦は避けるべきです。辣椒は胃粘膜を充血させ痛みを起こす作用があるので、胃炎 胃潰瘍 胃腸出血 痔などがある場合は控えなければなりません。辣椒の成分には抗凝結作用、ビタミンK破壊作用などがあり、出血している場合は食用してはいけません。


カリフラワー

カリフラワーを中国では花菜、或いは菜花、学名を花椰菜といいます。キャベツを包心菜といい、そのビタミンUを胃病に用いているのに対して花菜はどのような効能があるのでしょうか? 花菜には白色のものと緑色のものがありますが、北京ではどちらも花菜と呼んでいます。性味は甘 平であり、強腎壮骨 補脳填髄 健脾養胃 清肺潤喉などが効用です。先天および後天不足、久病虚損、腰痛、下肢のだるさ、脾胃虚弱、咳嗽失音などに用いられます。緑の花菜には一定の清熱解毒作用があり脾虚胃熱、口臭煩渇の症状に良いとされます。花菜の栄養は豊富で、蛋白質、微量元素、カロチンを多く含有します。100gの花菜に蛋白質2.4g、ビタミンC 88mgが含まれており、それぞれ北京の白菜の2.2、4.6倍であるといいます。花菜は防癌、抗癌の保健食品であるとされます。その理由として、多種のビタミン、食物繊維、カロチン、微量元素のセレンなどが有効であるからです。緑の花菜にはビタミンCがさらに多く、加えてカロチン、蛋白質が多く、細胞性免疫を強めるといわれています。花菜に含まれる多種のインドール誘導体はエストロゲンレベルを低下させ乳癌の発生を防止するといいます。脾胃虚弱の消化管の癌、乳癌に花菜が推奨されています。花菜を料理する場合、薬効の温存という観点から、なるべく加熱時間を短くするべきです。また、キュウリとともに料理してはならないとされています。キュウリの中のビタミンC分解酵素が花菜のビタミンCを早い時間で破壊するからです。見た目の良さを求めるなら、別々に料理して、後で盛り合わせる方法をとるべきです。


キャベツ

キャベツの性味は甘 平、脾であり、胃経に作用して健胃醒脾、緩急止痛、強壮筋骨、清熱解毒、滋補心腎などの効用があります。「各急千金方」には「久しく食べれば腎を益し、髄脳を填し、五臓を利し六腑を調する」とキャベツの効能を述べています。キャベツの呼称は中国ではいろいろありますが、包心菜が一般的です。包心菜は熱が原因の胸悶、口渇、喉の痛み、小便不利、耳や目の不調、睡眠障害、関節痛などに効果があるとされます。ビタミンC、E、U、食物繊維、カロチン、微量元素など成分は豊富です。ビタミンUは胃、十二指腸潰瘍の治癒促進剤として有名です。包心菜には多種の発がん物質を分解する酵素や、発ガンを防止する微量元素のモリブデンが含まれています。包心菜、花菜、大根、白菜などにはインドールやフラボン類化合物を含み、発がん物質の体内生成を減らし、防癌効果があるといわれています。また多種のアミノ酸、カロチン、ビタミンCは細胞性免疫機能を亢進させるといわれており、癌の患者さんや年配の体弱者、多数の慢性病患者がキャベツを多く摂取することが推奨されます。人によっては多量のキャベツ、例えば豚カツのつけ合わせなどを食べるのが苦手だという人がいます。よく噛みしめれば、独自の甘みがありますが、ソースをかけないと食べられない人が多いのも事実です。そのような人のためには、古くから田舎であるように、キュウリや人参との浅漬けを食べる習慣をおすすめします。


トマト

トマト(西紅柿)は野菜であり果物です。また食品であり薬用できます。中国では16世紀に西方から入ってきたために番茄とも言われています。以来、中国では「野菜の果物」として愛されてきました。性味は甘酸であり、 脾 胃 肝経に働き、養陰生津 健脾養胃 平肝清熱が効能で、熱病が原因の陰液不足や胃熱口渇などの治療目的で食されてきました。ビタミンCがりんごの2.5倍であることやカロチンの含有量が高いのも特徴です。癌との関係では、西紅柿の色素の一つであるリコペンは排気ガスや煙草の煙に含まれる発がん物質から人体を守る働きがあるといわれています。リコペンは一種の抗酸化剤で、フリーラディカルに拮抗して、細胞老化や発癌を防止するといわれています。西紅柿はグルタチオンを含み、細胞の老化を緩慢にし、悪性腫瘍の発生を低下させるといわれています。また西紅柿抽出物には前立腺癌特異抗原(PSA)を低下させる効果があります。前立腺癌の予防、治療に西紅柿は有効です。また培養口腔癌細胞に対して殺傷作用があることも報告されています。コレステロールを減少させる効果も西紅柿の特徴です。ビタミンC、A、K、B2を豊富に含み、歯肉出血や口腔潰瘍にも有効です。夏の暑い時期に、トマトジュースとスイカジュースを混ぜて飲めば夏負けに対して効果があります。


キュウリ

中国ではキュウリを黄瓜、或いは日本と同じように胡瓜と書きます。性味は甘 涼であり、肺 胃 大腸経に働き、清熱解毒、利水消腫、止渇生津を効能とします。身熱煩燥、黄疸熱淋、排尿痛などに食されます。中国では「固体飲料」などの愛称もあります。日本では、水分の少ない小ぶりのキュウリが愛されていますが、中国では、大ぶりで水気の多いものが愛されています。キュウリに含まれるプロピル類は糖から脂肪への転化を抑制するので、理想的なダイエット食品です。豊富な食物繊維もコレステロールを減少させる働きと共に、腸内の有害な発癌性物質の吸収を抑制します。キュウリに含まれるアラニン、アルギニン、グルタミンなどは肝臓傷害、特にアルコール性肝炎の際に肝臓保護作用があるといわれています。中国の民間療法では、湿熱黄疸、肝臓病の浮腫み、尿量減少の際に、キュウリの皮を煎じて服用する地方があります。また、日焼けによる皮膚炎にキュウリパックをすると治癒が早まるとも言われています。サンザシと共に、毎日食用すれば、血圧を安定する効果があります。蜂蜜とキュウリのすりつぶしたものを混ぜて傷口に塗れば、腫れを抑え、痛みを軽減させます。キュウリを料理する際には、加熱はなるべく避けることです。調理の際には、最後に加えるようにしましょう。また、寒涼の食品ですから、過食すれば脾胃を損ねることになるので注意が必要です。


苦瓜(ゴーヤ)

苦瓜(にがうり)はひょうたん科の植物で、日本では沖縄の「ゴーヤ」が有名です。最近では、沖縄以外でも広く栽培されるようになりました。中国では「君子菜」とも言われるように、独自の風味が薬効とともに尊重されています。性味は苦 寒で心 肝 脾経に働き、清熱解毒、明目?暑、清肝降火の効能があります。暑熱煩渇、口苦目赤、皮膚のできもの、排尿痛などに使用され、名医 李時珍は「邪熱を除き、疲労を除き、清心明目作用があり、益気壮陽の効あり」と述べています。「日用本草」には「寛中下気、利大腸、消水張、腫毒を治す」とあります。苦瓜100g中にはキュウリの9倍の84mgのビタミンCが含まれ、食物繊維は1.1g含まれており防癌に有利です。苦味のある食品にはビタミンB17が含まれているとされ、癌細胞を殺傷すると言われています。苦瓜の種子から抽出されるα、β―苦瓜素は、がん細胞の代謝を阻害し、抗癌効果があると言われています。さらに、苦瓜の種子のトリプシン抑制類似成分は癌細胞の分泌する蛋白分解酵素を抑制するとの報告もあります。苦瓜の絞り汁中のキニーネ類似の蛋白成分は、マクロファージの活性を高めることが確認され、担癌ネズミの寿命を延長させることが報告されています。 苦瓜は胃液分泌を促し、食欲を亢進させ、消化を促進します。苦瓜の抽出液には細菌の繁殖を抑える作用があります。天然の抗菌食品でもあるわけです。眼、泌尿器などの感染症がある場合に食用することは有益なことです。また、動物実験および人の臨床経験から、血糖降下成分があることが判明しました。新たな糖尿病治療薬の開発が進行中であるといわれています。苦瓜の特殊な成分として、ネズミの睾丸を萎縮させる物質があり、男性避妊薬方面の研究も進行中であるとのことです。苦瓜は寒性食品なので、脾胃虚寒があり、腹痛泄潟のある場合は過食してはいけません。


蕎麦(そば)

蕎麦はたで科の植物の蕎麦の種子です。中国では古来より北方で栽培され、飢餓をしのぐ穀物として、下等食品の評価がありました。ところが、現代では、いわゆる「富貴病=贅沢病」が多くなり、蕎麦の価値はますます評価されつつあります。蕎麦の性味は甘、脾胃経に入り、開胃寛腸、消腫化湿、消積導滞、清熱解毒の効用があり、飲食積滞、湿熱下注、赤白帯下、腫瘍毒などの治療に用いられます。夏には消暑の効能が、冬には去寒の効能があるとも言われています。含有蛋白は白米より多く、リジン、アルギニン、トリプトファンなどの必須アミノ酸が豊富に含まれています。リジン含有量は小麦粉の2.8倍、ビタミンB1,2は2倍以上です。ルチン、ルチニオン、ニコチン酸やビタミン類、鉄、亜鉛、カルシウムなどは、高血圧、高脂血症、高血糖、動脈硬化性心脳血管障害などに有効です。高脂肪食を与えたウサギの実験では、蕎麦を食べさせると、脂質酸化物質の生成が抑制され、その保健効果は人に有効である可能性が指摘されています。太平洋のフィジー国は「癌の無い国」として知られていますが、蕎麦を多食することとの関係が指摘されています。蕎麦の抽出物である、ビタミンB族のある成分が抗癌作用を持つことや、含有セレンが抗癌効果があることなどが指摘されています。脳腫瘍あるいは肺癌の患者に蕎麦を食べさせると身体機能が増強するという中国での報告があります。野生の蕎麦から抽出された成分に、マウス移植癌腫瘤の成長を抑制するものが発見され、「威麦寧」という、漢方抗癌薬がすでに開発されています。特に肺癌患者において、細胞性免疫機能の賦活や、放射線療法の副作用を減少させるといわれています。伝統的な漢方薬剤である「金蕎麦」は、野生蕎麦の根茎ですが、肺熱咳嗽や脾失健運の治療薬剤です。また、中国の民間では、湿熱下注による婦人の帯下病や排尿痛に、蕎麦と緑豆を半量ずつ混ぜ、饅頭をつくり、常食して治療する地方もあります。また、肝胆湿熱が原因の黄疸である「陽黄」や、排尿痛に対して、蕎麦、ハトムギにて麺を作り、キュウリと一緒に食すると治療効果があるとも言われています。脾胃湿熱、高脂血症、肥満、脾胃有熱の患者さんに対して、蕎麦麺と苦瓜が有効であるとも言われています。このように、蕎麦の健康食品、防癌食品としての効用は今後、ますます重要視されてくることでしょう。


枸杞子

枸杞は中国では枸杞子と呼ばれ、古来より長寿をもたらす食品として尊ばれています。寧夏の枸杞子が有名で薬酒の「寧夏紅」も人気商品です。性味は甘、平で肝、腎、肺経に作用し、滋補肝腎、明目潤肺の効能があり、肝腎虧損、遺精不孕、肝気不足による視力減退などに使用される補陰食品です。成分中のベタインは脂肪の肝臓沈着を抑制し、肝硬化を予防するとされ、肝細胞を保護するとも言われています。動物実験では四塩化炭素によるマウスの肝臓脂肪変性作用を防止し肝機能を保護する作用が認められるほか、血中脂質や血糖を一定の効果で低下させる効能が確認されています。枸杞子の糖含有量は比較的高く、100gにつき19.3gであることから、糖尿病の際には過量には留意すべきです。およそ10g程度が適量でしょう。最近の研究で、枸杞子抽出物がインターロイキン2を介してリンパ球の腫瘍細胞壊死因子の生成を増加させることが報告されています。また、枸杞子から抽出された多糖類には、放射線によるマウスの骨髄抑制を防止し、白血球を増加させる働きがあることが最近の研究で示されました。枸杞子を使用する際の注意点は、薬性が滋賦であることから胃腸障害のある場合に量を多くしないことなどです。枸杞を枸杞子と「子」をつけて呼ぶのにはわけがあります。枸杞の「根」からは地骨皮という漢方薬が採取され、虚熱を除くのに利用されているからです。


菊花

菊花茶として有名な菊花は、性味は甘辛苦 微寒〜寒であり、肝、肺経に作用し、疏風清熱、清肝明目、清熱解毒の効能があります。風熱感冒、熱病初期、肝火による頭痛や目赤、口苦などに薬用されています。疏散風熱、清肝明目作用は菊花と桑の葉の共通点です。中成薬の桑菊飲(そうぎくいん)は特に小児の風熱感冒剤で桑葉と菊花が配合されています。また有名な中成薬である杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)には枸杞子と共に菊花が配合されており、腎陰虚と目の老化に有効です。黄菊花は疏風清熱作用強く、杭州産が有名で、目の充血に良いとされ、白菊花は清肝作用が強く、安徽省産が有名で、肝火を抑えるのに有効です。野菊花は解毒作用が強く、中国では虫刺されに外用されています。 菊花と谷精草の煎じ薬は風熱頭痛や結膜炎に、菊花と藁本の煎じたものは眩暈(めまい)に、柴胡と菊花の組み合わせは肝臓部分の張痛に有効であるといわれ、菊花、胖大海、麦冬などをお茶代わりにすれば、放射線療法による口干舌燥、口腔潰瘍に有効だといわれています。現代の薬理学的な研究で、菊花成分には、抗菌作用、抗真菌作用の他に、冠状動脈拡張作用などが確認されており高血圧症に有効です。菊花には古来より延命益寿の効果があるといわれ、菊花成分の抗酸化物質が、その働きをもつといわれています。マウスの実験ではグルタチオン活性が増強し、解毒作用が増すという報告があります。野菊花には、清熱解毒作用のほかに、軟堅散結作用があり、乳癌、肝癌、肺癌の治療中薬に配合されています。


サンザシ

サンザシの性味は 微温 甘 酸であり、脾 胃 肝経に作用し、消食 化痰 散オ 清胃 解毒 醒脳が効能で、単なる消化剤としてではなく多彩な効能を持っています。サンザシは豊富なアミノ酸、ビタミン、微量元素を含みます。ビタミンCの含有量は100gにつき89mgで大根(夢卜)の7〜8倍です。消化酵素、特に蛋白分解酵素を豊富に含むことから、油性の消化不良に有効です。血中脂質を低下させる成分も有し、高脂血症に用いられ、動脈硬化を予防します。サンザシ中のフラボン、トリテル酸類は心筋の疲労に有効であるといわれています。抗菌作用と止咳平喘作用も存在します。活血散オ作用は産後の悪露を早く排出させる時に利用されています。サンザシのフラボノイド化合物は強力な抗腫瘍作用があるといわれます。サンザシの抽出成分にアフラトキシンB1の発ガン作用を遮断し、実験性の肝臓癌を防止するものも発見されています。サンザシにはT細胞の免疫効能を賦活する作用があり、実験で、担癌マウスの生存期間を延長します。神曲を配合したものは焦三仙と呼ばれ、中医が消化不良の第一選択薬とするものです。决明子とサンザシをお茶代わりに服用すれば、潤腸通便作用で習慣性の便秘に効果があります。月季花と一緒に砂糖煮したものは寒証が原因の生理痛に効果があります。サンザシと丹参をお茶代わりに飲めば高脂血症、高血圧に良いといわれ、サンザシ、麦冬、荷葉の煎じ汁でうがいをすれば、放射線療法後の口干舌燥に効果があります。 サンザシの酸味はかなり強いので、空腹時に過食するのは勧められません。胃酸過多或いは胃潰瘍の場合も過食は慎むべきです。また、サンザシを加工する場合には、強い酸味のために、ぴかぴかに磨いた鉄なべは不適です。成長期の小児が、サンザシを過食した場合には、食後、うがいをして、酸による歯牙の傷害を予防すべきです。また、五年以上の古いサンザシを入れると鶏肉がやわらかくなるので民間では肉料理に多く使用されます。分量は肉500gにサンザシ10〜20gで、脂肪が吸収されにくくなるとも言われています。 この肉を柔らかくする作用、サンザシが「強力な抗腫瘍作用がある」といわれるのも納得できる気がします。



中国には梨を「百果の宗」という呼称があります。中国の梨で有名なのが、山東の菜陽梨、湖北の雪花梨などがありますが天津の雪梨は特に有名です。性味は甘 微酸 微寒で肺 胃経に働き生津潤燥 制熱化痰 潟熱止渇 潤肺止咳 養血生肌が効能であり、熱病傷陰 肺燥咳嗽 煩渇椋狂 咽干失音 反胃便秘などの治療に食されます。新鮮な梨は六腑の熱を清し、熟れた梨は五臓の陰を養うとも言われています。梨は多種のビタミン、有機酸、カルシウム、リンなどの多種の鉱物質を含みます。また、アスパラギン酸は腎を保護するといわれています。ビタミンB1,2は神経系統を調節し、心臓の活力を増加させ、疲労回復に一定の効果があります。高血圧患者が梨を食すれば、清熱、滋陰、沈静効果により、血圧上昇時の口渇やめまいなどを軽減できます。肺結核患者が梨を食すれば、陰虚乾咳、粘調痰、喀血、五心煩熱(手のひらや足の裏のほてり)を改善します。豊富に含まれるフルクトースとビタミンは食欲を亢進させ、消化を助け、肝臓に対して保護作用もあるのです。 がん患者が梨を食することは癌にともなう陰虚の改善に有効です。また、癌の予防という観点からは、含まれる大量のビタミンCが発がん物質の生成を抑制するので有益です。頭頚部の放射線療法後に必発する口苦舌燥、味覚障害は熱毒傷陰の症状ですが、梨を食することによって軽減することが出来ます。 梨は偏寒助湿の傾向があるので、過食すると脾胃を傷めることになります。従って、脾胃虚寒証の場合は食べる量を少なくすべきです。またフルクトースを多く含むので胃酸過多の場合も少なくすべきです。また利尿作用があるので夜間頻尿がある場合は、就寝前に梨を食する場合は少量にすべきでしょう。食べ合わせの問題で、梨と蟹は避けるべきだと中医は説いています。民間で行われている治療法で、秋口の燥邪によるから咳、喉の掻痒感、咳が長引くなどの症状を治療する方法を紹介します。洋梨の種の部分を取り除き、川貝母と氷砂糖をいれて、ガラス容器に乗せ、30−45分蒸します。しみ出してきた液体を飲ませると2日ぐらいでよくなります。喉のイガイガ感による咳や、インフルエンザに伴う痰があまり出ない頑固な咳にも奏効します。


パパイヤ

パパイヤは舒筋活絡(筋肉の運動を滑らかにし経絡の流れをよくする)、化湿和胃(体内の病的な水分を減少させ食欲を増す)の作用がある薬食両用の食品です。性味は書籍によって、甘〜酸、微寒〜平〜温と様々な記載がありますが、肝 脾経に作用し、通絡舒筋の効能があり、筋脈拘緊、肢体腫痛に用いられます。また化解湿濁、平肝和胃、解酒毒、調和中焦、消食化滞の作用があり、消化不良に主として用いられます。東南アジアでは青い未成熟のパパイヤなどが市販されていますが、中国では熟れたパパイヤを食用とします。パパイヤの成分は複雑で、還元糖、ビタミンC、パパインはじめ多彩で、抗菌効果と保肝作用があります。ビタミンCはりんごの48倍で、一個のパパイヤ半分でビタミンCの成1日必要量がまかなわれるといいます。またパパイヤには血中脂質を低下させる効果もあります。パパインは蛋白分解酵素で鎮痛効果と抗腫瘍効果が報告されています。舒筋効果としては特にこむら返り、胃腸の痙攣性の痛みに有効です。パパイヤ抽出物には、エールリッヒ腹水癌を強力に抑制する成分が報告されています。癌に有効な果物として今後注目をあびるかもしれません。化湿作用はがん患者の肢体の浮腫に有効です。その他、止瀉、調理脾胃、促進消化などの作用は、脾虚湿盛による消化不良や、放射線、化学療法時の消化管の症状に対して一定の効果があります。またパパイヤには乳汁分泌を促進する作用や、皮膚に潤いと艶を与える作用もあり、女性にとっては理想的な果物です。


キーウイフルーツ

日本人にとってキーウイフルーツは戦後から、身近な果物となってきましたが、中国では唐代から食されてきた果物です。「食経」には「和中安肝、黄疸に効き、渇きを消す」と記載されています。さらに「本草拾遺」には「関節の痛みに効く」とあります。性味は甘寒 脾 腎 膀胱経に働き、清熱生津、利水通淋の効能があり、燥熱、煩渇、黄疸、排尿痛、痔疾などに食用されています。キーウイフルーツの果汁は発がん物質の亜硝酸化合物の体内産生を防止するといわれています。またインターロイキンを介するT細胞の免疫賦活作用があるといわれ、キーウイフルーツ中の多糖類はナチュラルキラー活性を活性化するという報告もあります。これらから、キーウイフルーツは強力な抗癌効果をもつ果物といえます。キーウイフルーツの樹根は中薬では猫人参といい、清熱解毒作用があり、肝癌の治療に用いられています。キーウイフルーツは蛋白分解酵素と共に、食物繊維に富み、腸の蠕動運動を促進し、便秘を改善します。豊富なペクチンはコレステロールを低下させ、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症に有益です。豊富なアミノ酸や多種のミネラルは睡眠の質を高め、美容効果ももたらします。また糖核蛋白の合成を促進し、貧血にも効果があるといわれます。また、キーウイフルーツは養髪作用に優れることも中国では認められています。肝細胞をアルコールから保護することや、過敏性血管性紫斑病にも有効であるとする報告があります。


酢(醋)

中国では酢を醋と書きます。玉醋の歴史は数千年になります。中国では夏朝の杜康が酒の醸造方法を発明したと言われています。彼の子供が酒造りに飽きて、二十一日間放置しておいたところ、酒が出来ずに芳醇な醋が出来たとの言い伝えがあります。「醋」という漢字にはこの「二十一」が組み込まれています。醋の原料は米、麦、高粱あるいは酒糟などです。酸甘平の性味で、肝胃経に入り、健胃消食、顔喀血、収斂固凝、止瀉解毒が効能で、消化不良、下痢、食欲不振、吐血便血、虚汗などに有効とされます。「本草綱目」には「もろもろの腫塊、腹痛、痰水血病と虫毒を治す」とあります。 現代医学の研究で、米醋には酢酸、琥珀酸、B族ビタミン類など多種の人体有益成分が含まれているとされます。中国で有名なのが、山西老陳醋、綿竹双頭醋、鎮江香醋などです。水質が弱アルカリであることが食醋の醸造に良いと伝えられています。 中国医学の発展に対する醋の役割は大きく、中薬に米醋を加え、炒める方法を醋炙法といい、薬性を増加させます。肝経に入る柴胡、香附子、元胡などは醋炙を多用します。近年、醋の高脂血症に対する降脂効果、血圧を降下させる作用などが注目されています。慢性肝炎の患者が米醋を食用すると、米醋の成分が肝に入り、「引経作用」を起こし、諸薬を肝経に導くと主張する中医がいます。また米醋には解酒といい、アルコールが醋の酢酸でエステル類となるために、酒のアルコールを弱める作用があります。また、中国ではインフルエンザに有効だと信じる民間人も多く、鳥インフルエンザ防止のために、鶏やアヒルに醋を与える業者が多いのも事実です。 醋を用いた日常的な治療は中国では非常に多いといえます。爪の水虫に対しては、新鮮なニンニクの絞り汁に米醋を混ぜ、毎日数回塗ると治癒します。皮膚湿疹には、豚の皮を醋を加えてゆっくりと水煮して、膠状になったら外用します。ピーナッツあるいは大豆で酢豆を作って毎日食用すれば高血圧や糖尿病に有効です。氷砂糖と老陳酢を同量まぜ、氷砂糖が溶解したら、毎日朝晩10mlずつ服用すれば、痰、咳嗽に有効です。海鮮料理でアレルギーが生じたら、米醋に生姜を加えて煮立て、氷砂糖を加えて温服すれば、痒みを抑え、皮膚の発疹を早く消退させます。 醋は酸性の強い食品です。「本草綱目」には「茯苓、丹参を服用する際は醋を食してはならない」と記載されています。これはアルカリ性薬品を服用する際に、醋の酸が効能を減弱させるからです。また、新鮮な牛乳を飲む場合にも、醋は同時に食するべきではないとされます。また、新鮮野菜を調理する際にも、醋の成分がクロロフィルやビタミンCを分解することが判明してために、一緒に炒めることは避けるべきであると中医はといています。また、ナマコのムコ蛋白は醋の成分と接すると、口味が減じる変性がおこるといい、ナマコを煮る場合は醋は用いられません。野菜のカロチン成分は醋によって破壊されやすいと言われています。また、醋を直接、熱した調理器具、特に鉄なべにたらしてはいけないともいわれ、料理の過程で、具剤の上からたらすべきであるとも中医は言います。中国には酸辣湯(さんらーたん)という、すっぱく辛いスープがあります。あまりこだわる必要は無いと思いますが、中国の薬膳の専門家は、特に肉料理のうち、骨までいれてスープにする場合には醋は使ってはいけないと言います。酸性物質を混入させると、有効な栄養成分の体内吸収が悪くなるといいます。 十二指腸潰瘍患者の場合や、もともと胃酸過多の場合には醋を多飲してはいけません。脾虚湿盛患者の場合にも、湿邪を留滞させる恐れがあるために、醋は控えるべきであると中医は説いています。また、老人や小児の場合、醋を食した場合には食後にうがいをして、歯牙を保護するべきであるのは勿論のことです。


お茶

古代中国では、野生の茶樹の葉が解毒作用を持つことが知られていたようです。春秋時代に茶葉が祭礼の際の供え物でした。西漢の時代には、四川の武陽では茶葉の市場がありました。唐代の始めの頃に、茶の専門書ともいえる「茶経」が出現しています。茶にまつわる故事は多く、唐代の名医である Sun Si Mia は102歳まで長生きをし。彼は長寿の秘訣として「飲食を節制し、良く噛んでゆっくり食べ、量を超さず、食後に茶を飲む」と、茶の効用を説きました。民間では「米 油 塩 醤油 醋 茶」と茶が食生活に不可欠なものの一つであるとされています。茶葉の中には400種類もの人体に有益な物質が含まれているといわれます。テオフィリン、カフェイン、テオブロミン、その他の成分は強心、覚醒、利尿、殺菌、収斂などの多種の作用があります。テオフィリンは冠状動脈や気管支を拡張させ、狭心症や気管支喘息などに有効な成分です。また強心利尿作用があり、老人の慢性気管支炎に合併する心不全性の浮腫に有効です。カフェインは胃液の分泌を促進し、消化を促し、過食がもたらす胃腸障害を軽減すると言われています。また、血管の弾力性を増し、血中の脂質を低下させる成分も見つかっています。中国の報告ではありませんが、毎日紅茶の飲む群と飲まない群を、50〜60歳の男性で比較したところ、紅茶を飲む群は、有意に脳血管障害の発生率が低かったという報告があります。茶葉に含まれるクロロフィルはコレステロールを低下させる効果があります。含有されるタンニン酸は脳卒中や白内障を予防し、老衰を緩慢にするという報告もあります。また茶葉成分にはブドウ球菌、大腸桿菌、肺炎球菌などに対して一定の発育抑制効果があり、カテキン成分がその役割を果たしているとされますが、中医の清熱解毒作用と一致するところです。 茶の分類は多種で、発酵させずに蒸して乾燥させたものが緑茶で、涼性で清熱解毒作用があります。全発酵させたものが紅茶で、温性であり、胃を暖め寒気を除く作用があります。半発酵させたものがウーロン茶です。その他、苦丁茶は潟火作用が強く、「てん茶」は発酵させた後に圧縮したもので、水で煮出した後で牛乳などを加えて飲み、血中の脂質を低下させる作用が強いと言われています。茶と防癌作用との関係に関する報道は多く、セレン、亜鉛は防癌効果があると言われます。豊富なビタミンCも魅力です。また、緑茶、紅茶成分には、発ガン誘発物資の亜硝酸化合物の体内生成を減少させる効果がある物質があると報告されています。また、放射性物質の体外排泄を促進するという学者もいます。一般的な注意点として、不眠傾向がある場合は、カフェインを避けたほうがよく、茶は少なめにすべきでしょう。さらに、鉄欠乏製貧血の治療薬である経口鉄分製剤を服用する場合には、茶と一緒に服用してはなりません。一般的に薬を服用する時は、お茶を飲んではいけないといわれます。しかし、頭痛の特効薬である川きゅう茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)は例外的に緑茶で服用します。組成薬が全部温性発散の性質を持つために、涼性の緑茶で飲むわけです。



鶏スープのとり方!

「薬膳」の基本は鶏スープです。
ここでは、骨付き鶏もも肉を使った基本スープの作り方をご紹介しましょう。
骨付き鶏もも肉は、できるだけ無農薬の安全な飼料で育てられた地鶏を利用するようにしましょう。

骨付き鶏もも肉<のスープ

骨付き鶏もも肉<のスープ
骨付き鶏もも肉<のスープ
骨付き鶏もも肉<のスープ

骨付き鶏もも肉<のスープ



烏骨鶏のスープ!

「薬膳」の基本は鶏スープですが、その鶏の中でも、皮も肉も骨も黒い烏骨鶏は、その昔中国の王侯貴族が薬膳料理として食したとされ、「滋養強壮」、「長寿の源」として珍重されていました。また、烏骨鶏は昔からとてもよい味のスープが取れることで知られています。 烏骨鶏を、ネギ、椎茸、クコの実、松の実と共にじっくりと煮込みます。 烏骨鶏の味を生かすために、塩は控えめにして、からだの芯から温まる、滋味豊富なスープを作りましょう。 そして、このスープを基本として様々な薬膳料理に挑戦してみましょう。

烏骨鶏が手に入らない場合は、無農薬の安全な飼料で育てられた地鶏を利用すると良いでしょう。

烏骨鶏のスープ

〜 材料(4人分) 〜

烏骨鶏…1羽、塩…少々、にんにく…1片、生姜…1片、長ネギ…2本、栗…4個、クコの実…16個、
松の実…12個、なつめ…12個、高麗人参…1本など

※枸杞子(クコの実)など加える生薬は、実際には体の調子に合わせて変わります(陰陽のバランスをとる)。烏骨鶏のスープによく加えられる各生薬の効能は以下の通りですので参考にしてください。

高麗人参:
ウコギ科のオタネニンジンの根!
強精強壮、健胃、鎮静作用が期待できます。

枸杞子(くこし):
クコの実!
強壮、強精他耳鳴り、腹痛に効きます。

鹿茸(ろくじょう):
マンシュウジカ、マンシュウアカジカの袋角!
疲労回復、老化防止に効果があります。

霊芝(れいし):
サルノコシカケ科のマンネンタケの子実体!
体力増強、滋養強壮効果があります。

木瓜(もっか):
バラ科のカリンの実!
鎮痛、利尿効果があります。

山薬(さんやく):
ナガイモの根!
下痢止め、糖尿病に効果があります。

党参(とうじん):
ヒカゲノツルニンジンの根!
貧血に効果があります。

生姜:
生姜の根!
解熱、解毒作用があります。

甘草(かんぞう):
カンゾウの根!
鎮痛、解毒に効果があります。

麦門冬(ばくもんどう):
ジャノヒゲの塊根!
鎮咳に効果があります。

〜 作り方 〜

烏骨鶏のブツ切りを鍋に入れ、水をヒタヒタに加えます。
■ 火にかけて、沸いたら一度湯を捨てて、再度水を張りなおします。
■ ここで生姜や長ネギ、クコの実などの生薬を加えます。
■ 長ネギは青い部分(臭みを取る)のみをブツ切りにし、生姜は包丁の腹で押しつぶして入れます。
■ 鶏がらスープをとる要領で、気長に3、4時間クツクツ煮込みます。
■ アクが浮かんでくるのでこまめにすくいとりながら、立ち上る香りを楽しみます。
■ 肉がボロボロ柔らかくなった頃には黄金色のスープが抽出できているはずです。


烏骨鶏の養生鍋!

烏骨鶏を利用した養生鍋は免疫力が落ちている時に最適な薬膳料理です。 昔から黒豆や黒ゴマ、ひじきなど黒い食べ物には補血作用があり、免疫力を上げることができるといわれています。 この黒い烏骨鶏に生薬を加えた烏骨鶏の養生鍋で元気をパワーアップしましょう。

烏骨鶏の養生鍋
烏骨鶏の養生鍋

〜 材料(4人分) 〜

烏骨鶏…1羽、にんにく…1片、生姜…1片、長ネギ…2本
かぶ…3個、にんじん…50g、干しいたけ…4枚、油菜…1/2束
なつめ…4個、肉桂…1片、竜眼肉…大さじ1/2
しょうゆ…大さじ2〜3、酒大…さじ2


〜 作り方 〜

■ 沸騰したお湯に烏骨鶏のブツ切りを入れます。
烏骨鶏の表面の色が変わったら取り出します。
■ 土鍋に水8カップを入れ、取り出しておいた烏骨鶏を入れます。
■ 長ネギの青い部分のみをブツ切りにして入れます。長ネギの青い部分は臭みを取ってくれます。
■ 生姜は包丁の腹で押しつぶして入れます。
■ 弱火で20〜30分煮ます。
■ ネギを取り出し、干しいたけ、なつめ、肉桂、竜眼肉を入れて20分煮ます。
■ しょうゆ、酒で味を調え、にんじん、かぶを加えます。
■ 食べごろになったら油菜、ネギを加えて煮ながらいただきます。


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