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昇降開合松静功と同様に、私が力を入れている練功がこの手棍功です。 手棍功は、大脳、全身、そして特に腰部をリッラクスさせるために有効な練功方法です。腰を緩めると気が丹田に沈みます。
また、この手棍功では、解毒作用のある花椒(山椒)の原木で作った手棍木で手のひらの中央にある「労宮穴」というツボを刺激しますが、この「労宮穴」は、気の出入り口としてもよく知られていて「手の厥陰心包経」に属する経穴であり「心(心臓)」と繋がっています。 中医学(中国伝統医学)では、「心(心臓)は神(精神)を蔵し、司る」と言われ、「心」は意識と精神活動を受け持ち、五臓六腑を統率しています。 自分が「癌患者」であるということだけでも、かなり落ち込み、なかなか前向きになれないのが実際のところだと思いますが、まず心を落ち着け、積極的に前向きな気持ちを持つことが、癌と闘うためには大変重要となります。 「外出もしたくないし、ましてや歩く気功などやる気にならない!」という方には、是非この手棍功をお勧めします。 お家の中で腰掛けて、手棍木を両手で揉む(回す)だけでもよいです。最初は、お家にある「麺棒」や「すりこぎ」などを利用しても構いません。まずは始めてみてください。 また、既に「歩く気功(風呼吸法自然行功)」を実践されている方にも、この手棍功をお勧めします。 太極拳においても剣や刀、扇などを使用することは、とても重要だといわれています。 これらの道具(武器)を手に持って練功することで、集中力が高まり、体内での「内気」の生成が活発になり、各種ホルモンなどの内分泌も多量に生産され、免疫力が高まります。
生命活動の中心である「心(神)」を整え、不動な心で何事にも対処して行けるよう、是非この手棍功功法を取り入れてください。
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手棍功の予備功は、中度風呼吸法自然行功の予備功と同様のメニューを、手に手棍木を持って行います。
■松静站立
中度風呼吸法自然行功の松静站立と同様の手順を、男性は手棍木を右手に、女性は手棍木を左手に持って行います。
松静站立
男性は手棍木を右手に持ちます 松静站立
女性は手棍木を左手に持ちます
■中丹田三個気呼吸
中度風呼吸法自然行功の中丹田三個気呼吸と同様の手順を、男性は手棍木を右手に、女性は手棍木を左手に持って行い、癌患者の病気の場所により、手の置く場所も同じように異なります。
中丹田三個気呼吸
男性は手棍木を右手に持ちます 中丹田三個気呼吸
女性は手棍木を左手に持ちます
中丹田三個気呼吸
腎盂穴に手を置いた例です
■中丹田三開合
中度風呼吸法自然行功の中丹田三開合と同様の手順を、男性は手棍木を右手に、女性は手棍木を左手に持って行います。
中丹田三開合
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両掌心(労宮穴)で手棍木の両端を持ち、手棍木を絶えずに揉みながら(回転させながら)練功を行うのが基本です。外側へ手棍木を揉む(回転させる)のが「補法」で、内側へ揉む(回転させる)のが「潟法」です。 癌患者は「潟法」を採用します。手棍木を揉む(回転させる)とき、腕を力強く伸ばさないで、肩、肘、腕、指の各関節が硬くならないようにリラックスすることに注意して練功してください。
注意事項
子宮下垂、胃下垂、脱肛、子宮癌、卵巣癌、腎癌の方は、
この功法を練習するとき、蹲らないようにするか、あるいは少し蹲るぐらいにしておきます!
脳腫瘍、高血圧症の方は、手棍木を印堂穴より高く挙げてはいけません!
■中丹田前の揉棍式/左右両側揉棍式
手棍木を揉みながら、左足を前へ一歩出して、足先が地面に着き(癌患者は踵が地面に着き、肝癌患者は足先が地面に着く)、身体を少し前に傾け、重心を前へ少し移動します。 前足底を踏みしめ後足の踵を挙げます。 このとき、太極拳と同じように「虚実」をはっきりさせます。 前に体重が載り、前足が「実」で、後足は「虚」になります。 手棍木は揉み続けます。 そのまま暫くしてから、1,2,3と声を出さずに3つ数を数えてから、身体を元の位置に戻し、少し後方へ仰いで重心を後へ移動します。 前足の踵を挙げて前足が「虚」、後足が「実」になります。 手棍木は揉み続けます。 そのまま暫くしてから、1,2,3と声を出さずに3つ数を数えてから、身体を元の位置に戻します。 この動作を連続して4回行います。 くれぐれも「虚実」をはっきりさせてください。 重心移動の繰り返しを通して、腰部をリラックスさせるとともに腰部を鍛えます。 左足を前にする動作が終わったら、後足(右足)を前へ運び、予備式に戻ります。 手棍木を男性は右手、女性は左手に持って、中丹田開合を1回やります。 そして、次に右足を前に1歩出して、前述の動作を4回繰り返します。 終わったら元の位置に戻り、手棍木を男性は右手、女性は左手に持って、両手を中丹田前に置き、中丹田三開合を行います。 左右両側揉棍式の場合は、各足を前に出した後に手棍木を揉みながら身体を横に90度捻る動きを加えます。
中丹田前の揉棍式(1)
中丹田前で腕部の動きにより手棍木を絶えず回転させます
中丹田前の揉棍式(2)
左足を前に出した例です
体重がしっかり前足に載っています 中丹田前の揉棍式(3)
横から見たところです
前足が「実」で後足が「虚」になります
中丹田前の揉棍式(4)
後足に体重が移動します 中丹田前の揉棍式(5)
前足が「虚」で後足が「実」に変ります
■蹲りの揉棍式
手棍木を揉みながら、左足を前へ一歩出して、足先が地面に着き(癌患者は踵が地面に着き、肝癌患者は足先が地面に着く)、身体を少し前に傾け、重心を前へ少し移動します。 前足底を踏みしめ後足の踵を挙げます。 そのまま暫くしてから、1,2,3と声を出さずに3つ数を数えます。 次に腰を緩めて、ゆっくりと蹲ります。 腰を緩め、気を丹田に沈めてください。 前に体重が載り、前足が「実」で、後足は「虚」になります。 手棍木を中丹田と平行に保ち、百会は天に向け、身体を前に傾けないように注意してください。 中丹田前で暫く手棍木を揉んでから、1,2,3と声を出さずに3つ数を数え、ゆっくりと立ち上がります。 そのまま暫くしてから、1,2,3と声を出さずに3つ数を数えてから、前足の太腿を緩めて、後足の太腿を「実」にし、少し仰いで正面に向き、身体を元の位置に戻します。 この動作を連続して4回繰り返します。 くれぐれも「虚実」をはっきりさせてください。 重心移動の繰り返しを通して、腰部をリラックスさせるとともに腰部を鍛えます。 左足を前にする動作が終わったら、後足(右足)を前へ運び、予備式に戻ります。 手棍木を男性は右手、女性は左手に持って、中丹田開合を1回やります。 そして、次に右足を前に1歩出して、前述の動作を4回繰り返します。 終わったら元の位置に戻り両足を揃えて、手棍木を男性は右手、女性は左手に持って、両手を中丹田前に置き、中丹田三開合を行います。
注意事項
子宮下垂、胃下垂、脱肛、子宮癌、卵巣癌、腎癌の方は、
この功法を避けるか、あるいは少し蹲るぐらいにしておきます!
蹲りの揉棍式(1)
左足を前に出した例です
体重がしっかり前足に載ります
蹲りの揉棍式(2)
手棍木を揉みながら蹲ります
前足が「実」で後足が「虚」になります 蹲りの揉棍式(3)
横から見たところです
前足の膝の角度が90度になります
蹲りの揉棍式(4)
3つ数を数えてからゆっくりと立ち上がります 蹲りの揉棍式(5)
前足が「実」で後足が「虚」になっています
■印堂、百会、唖門揉棍式
手棍木を揉みながら、左足を前へ一歩出して、足先が地面に着き(癌患者は踵が地面に着き、肝癌患者は足先が地面に着く)、身体を少し前に傾け、重心を前へ少し移動します。 前足底を踏みしめ後足の踵を挙げます。 そのまま暫くしてから、1,2,3と声を出さずに3つ数を数えます。 次に腰を緩めて、重心を後足に移動しながら、ゆっくりと手棍木を上に挙げていきます。 手棍木が印堂の高さまできたら、手棍木を揉みながらその位置で暫くしてから、1,2,3と声を出さずに3つ数を数えます。 次に、手棍木を揉みながら、さらに百会の高さまで手棍木を挙げていきます。 このとき、重心は調度真中に位置します。 暫くしてから、1,2,3と声を出さずに3つ数を数えます。 手棍木は揉み続けます。 次に重心を後足に移動しながら、ゆっくりと手棍木を唖門まで移動させます。 このとき、重心は後ろ足に移動し、前足が「虚」、後足が「実」になります。 移動ルート(一時停止ポイント)は、「中丹田→印堂→百会→唖門」となります。 手棍木を揉みながらその位置で暫くしてから、1,2,3と声を出さずに3つ数を数えます。 今度は、今、通ってきた手棍木の移動ルートを逆戻りします。 「唖門→百会→印堂→中丹田」と逆戻りします。 各「経穴」前では、手棍木の位置を移動させずに暫くしてから、1,2,3と声を出さずに3つ数を数えます。 この動作に伴い、重心も後ろ足から前足へと移動します。 この動作を連続して4回繰り返します。 くれぐれも「虚実」をはっきりさせてください。 重心移動の繰り返しを通して、腰部をリラックスさせるとともに腰部を鍛えます。 左足を前にする動作が終わったら、後足(右足)を前へ運び、予備式に戻ります。 手棍木を男性は右手、女性は左手に持って、中丹田開合を1回やります。 そして、次に右足を前に1歩出して、前述の動作を4回繰り返します。 終わったら元の位置に戻り両足を揃えて、手棍木を男性は右手、女性は左手に持って、両手を中丹田前に置き、中丹田三開合を行います。
注意) 脳腫瘍、高血圧症の方は、手棍木を印堂穴より高く挙げてはいけません!
印堂、百会、唖門揉棍式(1)
左足を前に出した例です
体重がしっかり前足に載ります
印堂、百会、唖門揉棍式(2)
手棍木を揉みながら上へ挙げていきます 印堂、百会、唖門揉棍式(3)
印堂の前で手棍木を揉みながら3つ数えます
印堂、百会、唖門揉棍式(4)
次は百会の上で手棍木を揉みながら3つ数えます
このとき重心は調度真中に位置します。
印堂、百会、唖門揉棍式(5)
次は唖門の後ろで3つ数えます
このとき重心も後ろ足に移動します 印堂、百会、唖門揉棍式(6)
横から見たところです
前足が「虚」で後足が「実」に変ります
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男性は手棍木を右手に、女性は手棍木を左手に持ちます。 左足を前へ一歩出して、足先が地面に着き(癌患者は踵が地面に着き、肝癌患者は足先が地面に着く)、身体を少し前に傾け、重心を前へ少し移動します。 前に体重が載り、前足が「実」で、後足は「虚」になります。 手棍木を持った手を中丹田の前に置きます。 この手を任脈に沿い、百会まで徐々に挙げていきます。 手棍木が通る経穴ルートは、「中丹田→だん中→印堂→百会」となります。 手棍木を持っていない方の手は、手棍木を持った手の動きに合わせて、円を描くように「中丹田」前へ移動させていきます。 手棍木を持った手が百会まできたら、この手を円を描きながら「中丹田」前へ移動させていきます。 手棍木を持っていない方の手は、手棍木を持った手の動きに合わせて、任脈に沿い、百会まで徐々に挙げていきます。 この動作を連続して4回繰り返します。 重心の移動は、手棍木を持った手が中丹田の前にあるときに、前足が「実」で、後足は「虚」になります。 手棍木を持った手が百会上にあるときは、重心は調度真中に位置します。
左足を前にする動作が終わったら、後足(右足)を前へ運び、予備式に戻ります。 手棍木を男性は右手、女性は左手に持って、中丹田開合を1回やります。 そして、次に右足を前に1歩出して、前述の動作を4回繰り返します。 終わったら元の位置に戻り両足を揃えて、両手を「中丹田」前に置き、中丹田三開合を行います。 次に、手棍木を右手に持って、「中丹田」前で手棍木を持っていない左手の労宮穴をやさしく4回突きます。 4回突き終えたら、手棍木を左手に持ち替えて手棍木を持っていない右手の労宮穴をやさしく4回突きます。
この後は、中度風呼吸法自然行功の収功と同様に予備功を逆の順番で、男性は手棍木を右手に、女性は手棍木を左手に持って行います。手順については中度風呼吸法自然行功の収功を参照してください。
注意) 脳腫瘍、高血圧症の方は、手棍木を印堂穴より高く挙げてはいけません!
手棍功の収功(1)
前足が「実」で後足が「虚」になっています
手棍木を持った手を中丹田の前に置きます 手棍功の収功(2)
任脈沿いに百会まで徐々に挙げていきます
ルートは「中丹田→だん中→印堂→百会」
手棍功の収功(3)
手棍木が百会まできたら空手は中丹田に! 手棍功の収功(4)
次は空手を百会まで移動させます
手棍功の収功(5)
空手が百会まできたら手棍木は中丹田に!
手棍功の収功(6)
「中丹田」前で手棍木を右手に持って
左手の労宮穴をやさしく4回突きます 手棍功の収功(7)
今度は「中丹田」前で手棍木を左手に持って
右手の労宮穴をやさしく4回突きます
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脚棍功では、湧泉穴を刺激し腎臓機能を高めることができます。 この功法は胸水、腹水、肺結核、肝炎、腎炎、心臓病、脚腫れ、貧血などの慢性病患者に適しています。 中医学では腎臓は最も重要な臓腑で「命の源」とされています。是非この功法を取り入れて腎臓を強化してください。
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脚棍功の予備功は、中度風呼吸法自然行功の予備功と同様のメニューを椅子に腰掛けて行います。
■松静站立
中度風呼吸法自然行功の松静站立と同様の手順を椅子に腰掛けて行います。 下焦(腹部)に腫瘍がある人は、手を膝の方に遠ざけて置きます。 中焦(脾胃部)に腫瘍がある人は、手を膝の真中ぐらいに置きます。 その他の人は、手を足の付け根辺りに置きます。
松静站立
手を膝の上に置きます
■中丹田三個気呼吸
中度風呼吸法自然行功の中丹田三個気呼吸と同様の手順を椅子に腰掛けて行います。男性は右手を上に、女性は左手を上に置きますが、癌患者の病気の場所により、手の置く場所も同じように異なります。
中丹田三個気呼吸
男性は右手が上になります 中丹田三個気呼吸
女性は左手が上になります
■中丹田三開合
中度風呼吸法自然行功の中丹田三開合と同様の手順を椅子に腰掛けて行います。
中丹田三開合
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脚棍木の上に足を載せ、脚棍木が湧泉穴に触れるようにします。 前後に1回ずつ適当な速度で転がし、120回転がしたら、足を脚棍木から離します。 自身の状況に合わせ、10日後には転がす回数を60回加えて合計180回にします。 20日後にまた60回加えて合計240回にします。30日後にはさらに60回を加えて合計300回にします。 300回が最高回数ですので、これ以上増やしてはいけません。 脚棍木と足裏が接触する部位は3つの階段に分けます。 まず、1番目は湧泉穴の前後を転がします。 2番目は脚心まで転がします。3番目は踵まで転がします。これを、1か月〜3か月までの間に全部の部位が転がるように完成させます。
転がしを終えましたら、腎兪穴の按摩をそれぞれ24回行います。 腎兪穴按摩の手順は、まず両手を腎兪穴の高さ(臍の高さ)まで挙げて、 次に両手を帯脈に沿って滑らす感じで背部へ移動させます。 そして、両手の内労宮を腎兪穴に当てて上下に擦ります。 上下の按摩を1回と数え24回行います。 次に内労宮で腎兪穴を円を外側に描くように24回擦ります。 円を描くのが困難な場合は内労宮を腎兪穴に当てて24回按摩(推して離す)して終わります。
練習の時間帯は、腎経の走行時刻である午後5時〜午後7時までが理想的です。
注意事項
高血圧、脳腫瘤 赤細胞増、月経不調などの方は、
この功法を避けてください!
練功は、裸足か綿の靴下を履き、絹やナイロンの靴下は避けてください!
脚棍功
脚棍功
1番目は湧泉穴の前後を転がします
脚棍功
2番目は脚心まで転がします
脚棍功
3番目は踵まで転がします
足裏の経絡図(湧泉穴・失眠穴)
脚棍功(腎兪穴の按摩)
両手を腎兪穴の高さ(臍の高さ)まで挙げます
脚棍功(腎兪穴の按摩)
両手を帯脈に沿って滑らす感じで背部へ移動させます
脚棍功(腎兪穴の按摩)
両手の内労宮を腎兪穴に当てて上下に擦ります
次に内労宮で腎兪穴を下図のように円を外側に描くように擦ります
円を描くのが困難な場合は内労宮を腎兪穴に当てて按摩(推して離す)します
腰背部の経絡経穴図
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脚棍功の収功は、中度風呼吸法自然行功の収功と同様のメニューを椅子に腰掛けて行います。
■中丹田三開合
中度風呼吸法自然行功の中丹田三開合と同様の手順を椅子に腰掛けて行います。
中丹田三開合
■中丹田三個気呼吸
中度風呼吸法自然行功の中丹田三個気呼吸と同様の手順を椅子に腰掛けて行います。男性は右手を上に、女性は左手を上に置きますが、癌患者の病気の場所により、手の置く場所も同じように異なります。
中丹田三個気呼吸
男性は右手が上になります 中丹田三個気呼吸
女性は左手が上になります
■松静站立
中度風呼吸法自然行功の松静站立と同様の手順を椅子に腰掛けて行います。 下焦(腹部)に腫瘍がある人は、手を膝の方に遠ざけて置きます。 中焦(脾胃部)に腫瘍がある人は、手を膝の真中ぐらいに置きます。 その他の人は、手を足の付け根辺りに置きます。
次に口の中に溜まった唾液を3回に分けて飲み込み、中丹田へ流し込みます。この中丹田へ流れ落ちる感覚をじっくりと味わってください。この唾液を飲み込む咽津三口功は意念を中丹田に集中させるための極めて重要な功法となり、また、練功中に溜まったこの唾液は免疫力を上げる大変貴重な薬だともいわれています。 この咽津三口功を終え、2〜3分経過後、ゆっくりと舌先を下げて眼を開け、自然状態に戻ります。
松静站立
手を膝の上に置きます
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